この記事はこんな方におすすめ!

  • 暗号資産の運用方法について幅広く知っておきたい方
  • イールドファーミングという言葉を最近知った方
  • 高利回りをうたう運用方法のリスクを事前に理解したい方
  • ステーキングなど他の運用方法との違いを知りたい方

「イールドファーミング」という言葉を、高い利回りをうたう投稿やニュースで見かけて気になっている方もいるかもしれません。イールドファーミングは、DeFi(分散型金融)を活用した暗号資産の運用方法のひとつで、保有する暗号資産をプロトコルに預け入れることで報酬を受け取ります。本記事では、その仕組みや流動性マイニングとの違い、インパーマネントロスやハッキングといったリスクを整理します。

執筆:CoinTradeコラム編集部

目次

    イールドファーミングとは

    DeFiに暗号資産を預けて報酬を得る仕組み

    イールドファーミングとは、DeFi(分散型金融)のプロトコルに暗号資産を預け入れ、その対価として報酬を受け取る運用方法です。「利回りを得るために資産を働かせる」という意味の英語表現がそのまま名称になっており、保有する暗号資産を運用に回して収益を生み出す発想を指します。また、預け入れ先となるプロトコルには、暗号資産どうしの交換を担うものや、暗号資産の貸し借りを仲介するものなど複数の種類があり、報酬の出どころもプロトコルの種類によって様々です。

    流動性マイニングとの呼び方の違い

    イールドファーミングとほぼ同じ意味で使われる言葉に、流動性マイニング(liquidity mining)がありますが、どちらも暗号資産をDeFiのプロトコルに預け入れて報酬を得る仕組みを指します。具体的には、流動性マイニングは、暗号資産の交換を担うプロトコルへ資金を提供し、その見返りとしてそのプロトコル独自のトークンを受け取る場合に使われることが多い呼び方です。実務上は両者を区別せずに使う場面も多く、この使い分けが厳密に定着しているとは言えません。

    イールドファーミングの仕組みと利用の流れ

    イールドファーミングの報酬は、預け入れ先のプロトコルがどのような役割を担っているかによって、出どころが異なります。これらの仕組みについて、資金の預け入れ方、報酬の受け取り方、利用に必要な準備という3つの要素を整理します。

    流動性プールへ資産を預け入れる仕組み

    DeFiのプロトコルの多くは、利用者が、あらかじめ決められた組み合わせで暗号資産を「プール」と呼ばれる場所に預け入れることで、他の利用者との交換や貸し借りを成立させています。プールに資金を提供した利用者は、その対価として、取引が成立するたびに生じる手数料の一部を受け取れる仕組みです。そのため、プールの規模が大きいほど、一度に処理できる取引の量が増え、それに伴って発生する手数料の総額も大きくなります。

    報酬の種類

    イールドファーミングで得られる報酬は、主に2種類に分けられます。ひとつは、プールに資金を提供した見返りとして受け取る取引手数料の分配です。もうひとつは、プロトコルの利用を促す目的で追加的に配布される、そのプロトコル独自のトークンです。報酬の中心が取引手数料か独自トークンかは、プロトコルによって異なります。

    利用にはウォレットとDeFiプロトコルへの接続が前提になる

    イールドファーミングを利用するには、暗号資産を管理するウォレットを用意し、そのウォレットをDeFiのプロトコルに接続する操作が前提となります。国内の暗号資産交換業者が提供する現物取引やステーキングとは異なり、事業者を介さずに利用者自身がウォレットとプロトコルを直接つなぐ仕組みです。この接続や資金の管理はすべて利用者自身の責任で行われ、操作を誤ると資産を取り戻せなくなる可能性もあります。

    イールドファーミングのメリット

    イールドファーミングには、暗号資産を保有しているだけでは得られない収益機会があります。

    保有資産を眠らせずに運用へ回せる

    暗号資産を単に保有しているだけでは、価格の変動以外に資産の増減は生じません。これに対し、イールドファーミングでは、保有する暗号資産をプールに預け入れることで、その暗号資産を保有し続けながら追加の報酬を得られる可能性があります。

    報酬の受け取り方が複数ある

    報酬の受け取り方は、預け入れ先のプロトコルによって組み合わせが異なり、取引手数料の分配だけを受け取る設計もあれば、これに独自トークンの配布を組み合わせた設計も存在するため、自分の望む形式を選択することが出来ます。一方、受け取る報酬の種類が増えるほど、管理や税務上の記録も複雑になりやすい点には注意が必要です。

    イールドファーミングのリスク・注意点

    高い利回りが提示される場面がある一方で、イールドファーミングには暗号資産の保有だけでは生じない特有のリスクがあります。

    インパーマネントロス

    イールドファーミングの中でも、複数の暗号資産をペアで預け入れる仕組みでは、インパーマネントロスと呼ばれる特有の損失が生じる可能性があります。これは、預け入れた2つの暗号資産の価格比が預け入れ時と比べて変動した場合に、同じ量をそのまま保有していた場合と比べて資産価値が目減りする現象です。この目減りは、価格比が変動した分だけ機械的に生じます。価格比が元の水準に戻れば目減りは解消されますが、戻らないまま資産を引き出すと、その時点の価格比に応じた損失が確定します。

    スマートコントラクトの脆弱性と不正流出

    イールドファーミングは、DeFiのプロトコルを構成するプログラム(スマートコントラクト)に資産を預ける仕組みです。そのため、プログラムに欠陥があれば、預けた資産が流出する可能性があります。実際、CryptoRankの集計によると、DeFi全体では2026年上半期に121件、約9億4,200万ドルの不正流出が発生しました。

    詐欺的なプロジェクトやネットワーク利用料の変動

    不正流出以外にも、実態のない仕組みで資金を集めるだけの詐欺的なプロジェクトが紛れ込む場合があり、高い利回りの提示だけを根拠に判断するのは危険です。加えて、DeFiのプロトコルを利用する際には、ブロックチェーンのネットワークを稼働させるための利用料(ガス代)がかかり、この利用料はネットワークの混雑状況によって変動します。利用料が報酬の見込み額を上回ってしまうと、結果的に資産を目減りさせることにもつながります。

    イールドファーミングをめぐる最近の動向

    イールドファーミングを取り巻く状況は、DeFi全体の資金の動きや税務上の取り扱いを含めて、年ごとに変化しています。

    DeFi全体の預け入れ資産(TVL)の減少

    DeFiのプロトコルに預け入れられている資産の合計額は、TVL(Total Value Locked)と呼ばれる指標で示されます。CryptoRankによると、DeFi全体のTVLは2026年に入り毎月減少を続け、1月の約1,150億ドルから6月下旬には約700億ドルまで、約39%縮小しました。この減少の背景としては、暗号資産市場全体の値動きに加え、DeFiプロトコルへの不正流出が相次いだことで利用者の資金が引き出されたことも考えられます。

    暗号資産の運用益にかかる税金の考え方

    イールドファーミングで得た報酬や、資産を引き出す際に生じた損益については、暗号資産を使用したことによる利益として課税の対象になる可能性があります。暗号資産同士を交換した場合も、その時点の時価をもとに課税対象となる利益が生じる場合があり、国税庁のタックスアンサーでもこうした課税関係が案内されています。DeFiのプロトコルを介した取引は、報酬の受け取りや資産の交換が何度も発生し、損益の計算が複雑になりやすいため、記録を残したうえで税務の専門家に確認することが望ましいでしょう。

    よくある質問

    Qイールドファーミングと流動性マイニングは同じものですか?

    厳密な定義は統一されていませんが、実務上はほぼ同じ意味で使われています。どちらも暗号資産をDeFiのプロトコルに預け入れて報酬を得る仕組みを指します。流動性マイニングは特に、交換を担うプロトコルへの資金提供とその見返りとしてのトークン配布を指す場面で使われることが多い呼び方です。

    QイールドファーミングはCoinTradeで利用できますか?

    できません。イールドファーミングは、利用者自身のウォレットをDeFiプロトコルへ接続することが前提になる仕組みのため、CoinTradeを含む国内の暗号資産交換業者では提供されていません。

    Qイールドファーミングの利益は課税対象になりますか?

    暗号資産を使用したことによる利益として、課税の対象になる可能性があります。DeFiを介した取引は損益の計算が複雑になりやすいため、記録を残したうえで税務の専門家に確認することをおすすめします。

    Qイールドファーミングは初心者でも始められますか?

    暗号資産の取引に慣れていない方には、相応の注意が必要です。ウォレットの管理やDeFiプロトコルへの接続をすべて自分の責任で行う必要があり、操作を誤ると資産を取り戻せなくなる可能性もあります。インパーマネントロスやスマートコントラクトの不正流出リスクも、事前に理解しておく必要があります。

    Qインパーマネントロスはどのような場合に発生しますか?

    複数の暗号資産をペアで預け入れるイールドファーミングにおいて、預け入れた暗号資産どうしの価格比が預け入れ時と比べて変動した場合に発生します。価格比の変動が大きいほど目減りの度合いも大きくなり、価格比が元の水準に戻れば、その目減りは解消されます。

    まとめ

    • イールドファーミングとは、DeFi(分散型金融)のプロトコルに暗号資産を預け入れ、報酬を得る運用方法
    • 報酬の出どころは、取引手数料の分配と独自トークンの配布の2種類
    • インパーマネントロスやスマートコントラクトの不正流出など、暗号資産の保有だけでは生じないリスクを伴う
    • 利用にはウォレットをDeFiプロトコルへ接続する必要があり、国内の登録業者では提供されていない
    • DeFi全体のTVLは2026年に入り継続的に減少しており、市場環境も変化している
    • 得た報酬や資産引き出し時の損益は課税対象になりうるため、記録を残したうえでの確認が必要

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