暗号資産(仮想通貨)の利益にいくら税金がかかるのか、計算方法が複雑で不安に感じる方は多いのではないでしょうか。本記事では、税額の計算式から年収・利益額別の早見表、移動平均法と総平均法の選び方まで、実際の数字で分かりやすく解説します。
執筆:CoinTradeコラム編集部
※本記事は2026年8月26日時点の情報であり、今後の法改正等により相違が生じることがあります。
暗号資産(仮想通貨)の税金の計算方法
所得区分は「雑所得」で総合課税
暗号資産の売却や交換によって得た利益は、原則として雑所得に区分され、給与所得など他の所得と合算したうえで税額を計算する総合課税の対象になります。株式投資などに適用される、税率が一律20.315%の申告分離課税とは異なる仕組みです。
所得税は課税所得の金額に応じて5%から45%まで段階的に税率が上がる累進課税で、これに一律10%の住民税が加わります。
課税されるタイミング4つ
暗号資産に税金がかかるのは、次の4つのタイミングです。いずれも、その時点の時価と取得価額との差額が所得として計算されます。
- 保有する暗号資産を売却して日本円に換えたとき
- 保有する暗号資産を別の暗号資産と交換したとき
- 暗号資産を商品やサービスの決済に使ったとき
- ステーキングやレンディングなどの報酬として暗号資産を受け取ったとき
計算式:売却額-取得価額=所得金額
所得金額を求める基本の計算式は、「売却額(時価)-取得価額×数量=所得金額」です。取得価額は、購入時の価格に、取引にかかった手数料などの費用を加えた金額です。
複数回に分けて購入している場合、1単位あたりの取得価額の出し方には「移動平均法」と「総平均法」という2つの方法があり、どちらを選ぶかで所得金額が変わることがあります。
暗号資産(仮想通貨)の税金早見表|年収×利益額でわかる目安
早見表の見方(年収×利益額の税額目安)
下の表は、給与年収と暗号資産の利益額を掛け合わせた税額の早見表です。暗号資産の利益がなかった場合と比べて、税額(所得税+住民税)がどれだけ増えるかを試算しました。対象は、給与年収300万〜1,000万円、暗号資産の利益50万〜1,000万円の組み合わせです。
給与所得控除と所得税の基礎控除は令和7年分の速算表に、住民税の基礎控除は43万円にもとづいて計算し、所得税額には復興特別所得税(2.1%)を加えています。社会保険料控除は、東京都・40歳未満を前提とした健康保険・厚生年金(年収780万円で上限)・雇用保険の概算で反映しました。配偶者控除など他の人的控除は考慮していない概算値です。実際の税額は家族構成や勤務先の保険料率、他の控除の有無によって変動するため、あくまで目安として利用してください。
| 年収\利益額 | 50万円 | 100万円 | 300万円 | 500万円 | 1,000万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 7.6万円 | 15.1万円 | 63.4万円 | 125.3万円 | 310.2万円 |
| 500万円 | 10.1万円 | 20.2万円 | 81.5万円 | 143.3万円 | 343.8万円 |
| 700万円 | 15.2万円 | 30.4万円 | 92.3万円 | 158.2万円 | 372.5万円 |
| 1,000万円 | 15.2万円 | 31.2万円 | 100.3万円 | 187.6万円 | 406.1万円 |
※表の金額は、暗号資産の利益によって増える所得税(復興特別所得税を含む)・住民税の概算合計額です。
利益50万円のケース
暗号資産の利益が50万円のとき、年収別の追加税額の目安は次のとおりです。
- 年収300万円:追加の税額はおよそ7.6万円(実効負担率約15.1%)
- 年収500万円:およそ10.1万円(約20.2%)
- 年収700万円:およそ15.2万円(約30.4%)
- 年収1,000万円:およそ15.2万円(約30.4%)
年収が高いほど適用される税率区分が上がるため、同じ50万円の利益でも負担率は倍以上変わります。
利益300万円のケース
暗号資産の利益が300万円のとき、年収別の追加税額の目安は次のとおりです。
- 年収300万円:およそ63.4万円(約21.1%)
- 年収500万円:およそ81.5万円(約27.2%)
- 年収700万円:およそ92.3万円(約30.8%)
- 年収1,000万円:およそ100.3万円(約33.4%)
年収300万円と年収1,000万円を比べると、同じ300万円の利益でも追加税額は1.6倍近く変わります。
利益1,000万円のケース
暗号資産の利益が1,000万円のとき、年収別の追加税額の目安は次のとおりです。
- 年収300万円:およそ310.2万円(約31.0%)
- 年収500万円:およそ343.8万円(約34.4%)
- 年収700万円:およそ372.5万円(約37.2%)
- 年収1,000万円:およそ406.1万円(約40.6%)
利益額が大きくなるほど適用される税率区分も上がるため、負担率も高くなっていきます。
上記の早見表・試算は、社会保険料控除を概算で見込み、配偶者控除などの人的控除は考慮していない金額です。正確な税額は、国税庁の計算書(後述)や税理士への相談で確認してください。
取得価額の計算方法|移動平均法と総平均法
移動平均法とは
移動平均法は、暗号資産を購入するたびに、その時点で保有する残高全体の平均取得単価を再計算する方法です。例えば1BTCを100万円で購入した後、さらに1BTCを120万円で購入すると、平均取得単価は110万円に更新されます。
取引のたびに損益がその都度確定していくため実態に近い形で損益を把握しやすい一方、取引回数が多いほど計算の手間も比例して増えます。
総平均法とは
総平均法は、1年間(1月1日から12月31日まで)に購入した金額の合計を、購入した数量の合計で割って平均単価を算出する方法です。年間を通じて一つの平均単価を使うため、年の途中の値動きは損益に反映されません。
年に1回の計算で済むため確定申告前の事務負担は軽く、国税庁への評価方法の届出をしなかった場合は、法律上デフォルトで適用される評価方法でもあります。
どちらを選ぶべきか(判断の目安)
取引回数が少なく、シンプルに済ませたい場合は、届出が不要な総平均法のままで問題ありません。一方、頻繁に売買し、その都度の損益を細かく把握したい場合は、移動平均法が向いています。
移動平均法を選ぶには、暗号資産を初めて取得した年分の確定申告期限までに「所得税の(有価証券・暗号資産)の評価方法の届出書」を納税地の税務署に提出する必要があります。暗号資産の種類ごとに異なる評価方法を選ぶこともでき、例えばビットコインは総平均法、イーサリアムは移動平均法という組み合わせも可能です。
| 項目 | 総平均法 | 移動平均法 |
|---|---|---|
| 損益が |
年に |
取引の |
| 計算の |
少ない | 取引回数に |
| 届出の |
不要(デフォルト) | 必要 |
| 向いている人 | 取引回数が |
頻繁に |
国税庁の計算書(エクセル)で自分で計算する方法
計算書のダウンロード先
国税庁は、「暗号資産により生じた所得の計算方法及び計算例等について」というページで、移動平均法用・総平均法用の2種類の計算書(エクセル形式)を無料で公開しています。あわせて、計算方法を解説したPDF資料も同じページからダウンロードできます。
自分が選んでいる評価方法(届出をしていなければ総平均法)に対応した計算書を選びましょう。ページは随時最新の年分に更新されるため、確定申告のタイミングで国税庁のページから最新版を確認してください。
計算書を使う流れ
計算書を使った所得金額の算出は、取引履歴を入力するだけで所得金額が自動計算されます。手順は次の4つです。
-
1
取引履歴を用意する
取引所からダウンロードした年間の取引履歴(売買・交換等)を用意する
-
2
必要事項を入力する
計算書の指定された欄に、取引日・数量・取引価額などを入力していく
-
3
所得金額を確認する
入力が完了すると、その年の暗号資産の所得金額が自動計算される
-
4
確定申告書に転記する
算出された所得金額を確定申告書の雑所得の欄に転記する
取引が多い場合は損益計算ツールも選択肢
複数の取引所を使っていたり、取引回数が多い場合、手作業での入力は煩雑になりやすいものです。そうしたケースでは、取引履歴を自動で取り込み、所得金額を計算してくれる損益計算ツールも選択肢の一つになります。
どのツールを使っても、最終的な計算の考え方は国税庁の計算書と同じ「移動平均法」または「総平均法」にもとづきます。ツールを使う場合も、取得価額や取引履歴のもとになるデータは自分で保管しておきましょう。
確定申告が必要かどうかの判断
申告要否の基準は年収と働き方で異なる
会社員などの給与所得者は、給与以外の所得(暗号資産の利益を含む)が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。一方、個人事業主やフリーランスは、暗号資産の利益が生じた場合、原則として金額にかかわらず申告の対象です。住民税は所得税と基準が異なり、20万円以下でも住民税の申告が必要になる場合があります。
申告要否の詳しい条件は、コラム「暗号資産(仮想通貨)の税金、確定申告が必要なケースとは?」で解説しています。
よくある質問
Q暗号資産を保有しているだけ(含み益)でも税金はかかりますか?
暗号資産を保有しているだけで、売却や交換などの取引をしていない間は課税されません。含み益(評価上の利益)は、実際に売却・交換・決済・報酬受取のいずれかを行い、所得が確定した時点で初めて課税対象になります。
Q暗号資産の取引で損失が出た場合、給与所得と相殺できますか?
できません。暗号資産の利益は雑所得に区分されますが、雑所得の損失は、給与所得など他の所得と損益通算することが認められていません。損益通算の対象となるのは不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得に限られており、雑所得は含まれていないためです。その年に控除しきれなかった損失を翌年以降に繰り越すこともできません。
Q確定申告をしないとどうなりますか?
期限内に申告しなかった場合、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。国税庁の定めでは、自主的に期限後すぐ申告すれば5%程度に軽減される場合がある一方、税務署の調査を受けてから申告した場合、納付すべき税額に応じて15%から30%の無申告加算税が課されるとされています。これとは別に、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税も発生する点に注意が必要です。
Q複数の取引所を使っている場合、損益はどう計算しますか?
複数の取引所を使っている場合も、暗号資産の種類ごとに全ての取引所の取引を合算して1年間の所得金額を計算します。取引所ごとに個別に計算するわけではないため、それぞれの取引所から取引履歴をダウンロードして一つにまとめたうえで、国税庁の計算書や損益計算ツールに入力する必要があります。
Q暗号資産の税金を減らす方法はありますか?
個別に最適な方法は状況によって異なるため、税理士など専門家への相談をおすすめします。一般的には、取引にかかった手数料を経費として計上する、利益が出た年に含み損のある暗号資産を売却して雑所得内で損益を相殺するといった方法が挙げられますが、いずれも制度の範囲内で行う必要があります。
まとめ
- 暗号資産の利益は雑所得として給与などと合算され、5〜45%の累進税率に住民税10%が加わる総合課税である
- 課税されるタイミングは、売却・交換・決済利用・報酬受取の4パターンである
- 年収×利益額の早見表では、同じ利益額でも年収が高いほど税負担率が上がる
- 取得価額の計算は総平均法がデフォルトであり、移動平均法を使うには事前の届出が必要である
- 国税庁が移動平均法用・総平均法用の計算書を無料で公開している
- 確定申告の要否は年収や働き方によって異なる