「ビットコインとドル円は相関する」という話を耳にしたことがあるかもしれませんが、実際の関係はひと言では言い表せません。この記事では、両者が結びつく仕組みから、2026年のデータで見た相関の変化、過去の急落事例、今後の見方までを解説します。読み終える頃には、相関説を鵜呑みにせず、データにもとづいて実態を捉えられるようになります。
執筆:CoinTradeコラム編集部
※本記事は2026年7月28日時点の情報であり、今後の法改正等により相違が生じることがあります。
ビットコインとドル円の基本的な関係
ビットコインの価格と為替がなぜ結び付けて語られるのか、疑問に思う方も多いかもしれません。まずは、価格が決まる基本的な仕組みを確認します。
ビットコイン価格は主にドル建てで形成される
ビットコインは、世界の主要な暗号資産交換業者において米ドル建て(BTC/USD)で取引される場面が大半です。
2026年7月時点で1ビットコインはおよそ6万4,000〜6万5,000ドル、日本円ではおよそ1,000万円台で推移しています(※1)。日本国内の交換業者で目にする円建て価格も、このドル建ての評価額をもとに算出されたものです。
円建て価格は為替レートをかけ合わせた換算値
円建てのビットコイン価格は、ドル建ての価格に為替レートを掛け合わせて算出される換算値として動きます。ドル建ての価格が変わらなくても、為替レートが円安方向に動けば円換算の金額は増え、円高方向に動けば減ることになるでしょう。
2026年7月時点のドル円は162円台後半から165円台前半で推移し、約40年ぶりの円安水準となりました(※1)。この換算の仕組みがあるからこそ、ビットコインの値動きを語るときに為替の動きも合わせて話題になりやすくなっています。
円安・円高が価格に影響する仕組み
円安・円高がビットコイン価格に影響するとよく語られますが、その中身は意外と整理されていません。ここでは、伝統的に語られてきた説明を順に見ていきます。
円安局面で語られる上昇要因
円安が進む局面では、ビットコインの円建て価格が上昇しやすいといわれます。理由の一つは換算の仕組みで、ドル建ての価格が同じでも円安が進めば円に換算した金額が増えるからです。
もう一つは、通貨の価値が目減りする局面でインフレへの備えとして資金が向かいやすいという説明です。円の実質的な購買力が下がる局面では、値上がりが期待される資産の一つとしてビットコインが選ばれやすいという見方があります。ただし、これらはあくまで一般的に語られる傾向であり、円安が進むたびに価格が上昇するとは限りません。
円高局面で語られる下落要因
円高が進む局面では逆に、ビットコインの円建て価格が下落しやすいといわれます。換算の仕組みでいえば、ドル建ての価格が同じでも円高が進めば円に換算した金額は減ることになります。
あわせて、円の価値が相対的に上がる局面では、値動きの大きい資産よりも安定した資産に資金が向かいやすいという説明もなされてきました。投資家のリスクを避ける動きが強まりやすいという見方です。もっとも、これも一つの説明にすぎず、円高が進んだからといって価格が必ず下がるわけではありません。
ドル指数との歴史的な逆相関
ビットコインは、ドル円だけでなく、ドルの総合的な強さを示す指数(DXY、複数の主要通貨に対するドルの価値を示す指標)とも歴史的に逆相関の関係にあるといわれてきました。資産運用会社VanEckが2025年12月31日時点のBloombergのデータをもとに公表した分析によると、ドル指数とビットコインの値動きの関連の強さを示す統計指標は、2014年から2020年にかけては強い水準だったものの、直近のサイクルでは弱まっていると分析されています(※2)。歴史的に語られてきた逆相関そのものが、近年は変化しつつあるという指摘です。
資産運用会社VanEckの分析では、ドル指数とビットコインの値動きの関連の強さを示す統計指標(決定係数)は、2014〜2020年の0.7程度から、直近のサイクルでは0.45程度まで低下しています。
データで見るドル円との相関
ドル円とビットコインの相関は、印象だけで語られがちなテーマです。ここでは、実際のデータをもとに推移をたどります。
2026年前半に相関がプラスに転じた局面
2026年に入ってからのビットコインとドルの関係を振り返ると、その向きは1年の中でも大きく変化しました。同年3月には、米大手金融機関JPモルガンの分析で、ビットコインとドルの相関が2014年より前以来はじめてプラスに転じたと指摘されました(※3)。
通常語られる「ドルが強いとビットコインが下がる」という逆相関とは逆に、ドルが強い場面でビットコインも同じ方向に動いたことになります。特定の時点における観測ではあるものの、相関の向きが一時的に反転しうることを示す事例です。
2026年半ばにかけて強い逆相関に転じた局面
その後、2026年4月24日には、ビットコインとドル指数の30日間の相関係数がマイナス0.90に達し、2022年9月以来もっとも極端な逆相関の水準になったとCoinDeskが報じました。(※4)。
さらに同年6月30日には、ビットコインと対ドル円(USD/JPY)の52週間の相関係数もマイナス0.90に達したとCoinDeskが報じています(※4)。これは「円安でビットコインが上昇し、円高で下落する」という一般に語られる方向感とは逆の動きで、円安局面でむしろビットコインが下落し、円高局面で上昇するという結果を示しています。
2026年は1年の間だけでも、ビットコインとドルの相関はプラス(3月)から対ドル指数でマイナス0.90(4月)、対ドル円でもマイナス0.90(6月末)へと大きく変化しました。相関は一定の関係として固定されたものではありません。
相関が安定しない背景
相関の向きがこれほど短期間で変わる背景には、ビットコインの値動きがドルの強弱そのものだけでは説明しきれなくなっている事情があります。VanEckは、ビットコインの価格が世界的な資金供給量(M2、各国の中央銀行が供給する通貨の総量)の増減や、各国の財政に対する不安といった要因にも反応していると分析しました(※2)。
ドルと逆に動くか同じ方向に動くかは、そのときどきの資金供給や市場心理によって左右されやすいといえます。単純な「ドル高ならビットコイン安」という図式だけでは、実態を捉えきれません。
円キャリートレードの巻き戻しと急落事例
統計の数値だけでは、実際に何が起きたのかを捉えにくい面があります。ここでは、為替が絡んでビットコインが急落した具体的な事例を確認します。
2024年8月の急落が起きた経緯
2024年7月31日、日本銀行は政策金利を0〜0.1%から0.25%へ引き上げました。この利上げをきっかけに、低金利の円で資金を調達して外貨建て資産に投資する円キャリートレードの巻き戻しが発生し、急激な円高が進行しています。
株式市場とともにビットコインも値を崩し、前週比でおよそ20%下落して、6万5,000ドル台から一時4万9,000〜5万2,000ドル台まで値を下げました。証拠金を用いた取引の強制決済額は、市場推計で10億ドル規模に達したと推計されています(※5)。急速な円高が進んだこの局面では、ビットコインも同じ方向、つまり下落という形で反応したことになります。
| 局面 | 為替の |
ビットコインの |
相関の |
|---|---|---|---|
| 2024年8月(円キャリートレードの |
急激な円高が |
前週比で |
単一の |
| 2026年4月(対ドル指数) | ドル指数が |
下落方向 | 30日間の |
| 2026年6月末(対ドル円) | ドル円が |
下落方向と |
52週間の |
その後の政策金利の推移と市場の受け止め方
日本銀行はその後も利上げを続けており、2025年1月に追加の利上げを行ったのち、2025年12月には政策金利を0.75%まで引き上げました。(※6)。
金融政策の正常化が進むにつれて、円キャリートレードの巻き戻しへの警戒は市場で繰り返し語られています。ただし、2024年8月ほどの急激な巻き戻しが毎回起きているわけではなく、影響の大きさは局面によって異なるという見方もあります。為替と暗号資産の関係は、金利差だけでなくそのときどきの市場参加者の持ち高や心理にも左右されやすいでしょう。
今後のドル円と価格の関係性
ドル円とビットコインの関係は、今後も変わっていく可能性があります。ここでは、その見通しを要因と注意点の両面から考えます。
相関の継続に影響しうる要因
今後の関係性を左右しうる要因の一つは、世界的な資金供給量の動向です。各国の中央銀行が供給する通貨の総量が増え、通貨価値の希薄化への警戒が強まれば、ビットコインがその受け皿として意識される場面が増えていくでしょう(※2)。
もう一つの要因は、日本銀行とFRBの金融政策の方向性です。両国の金利差が縮まるか広がるかによってドル円の水準そのものが変わり、換算を通じてビットコインの円建て価格にも影響が及びます。どちらの要因も、今後の政策運営や経済情勢しだいで変わっていくでしょう。
相関を過信しない視点
ビットコインとドルの相関は、2026年の1年だけでもプラスから強い逆相関へと変化しており、決まった関係が続く保証はありません。過去に強い逆相関が観測された時期があっても、その関係が今後も同じ強さで続くとは限らず、逆方向に転じる可能性も十分にあるといえるでしょう。
円安・円高のニュースからビットコインの値動きを短絡的に見込むのではなく、関係が変わりうるものだと理解しておくことが実態に即した見方です。
CoinTradeなら円建てで取引が完結
為替とビットコインの関係を理解しても、実際の売買では為替の計算が気になる場面があります。ここでは、円建てのまま取引を進められる選択肢を紹介します。
円建てで取引が完結する仕組み
ビットコインの価格は本来ドル建てが基準になっており、円建てで見る際には為替レートとの換算が関わってきます。
CoinTradeでは、日本円の入金は指定口座への銀行振込で受け付けており、口座への入金からビットコインの購入まで日本円のまま手続きが完結します。
口座開設から購入までの流れ
実際に始める際の流れは、大きく4つの手順に分かれます。まずはメールアドレスを登録し、本人確認を行うところから始めましょう。
その後、指定口座への銀行振込で日本円を入金し、銘柄と金額を選んで購入します。まとまった金額を一度に用意しにくい場合は、都度の購入に加えて積立という形で、頻度を選びながら取引を続ける方法もあります。
-
1
メールアドレスを登録する
メールアドレスを登録し、案内に沿って初期設定を行います。
-
2
本人確認を行う
必要事項を入力して本人確認を行います。顔写真の提出は必須ではありません。
-
3
日本円を入金する
指定された口座への銀行振込で、購入に充てる日本円を入金します。
-
4
銘柄と金額を選んで購入する
銘柄と金額を選んで購入します。頻度を選べる積立設定も選択できます。
よくある質問
Qビットコインとドル円には相関があるのですか?
相関は、特定の時期に強く観測されることがあります。ただし、常に一定の関係が続いているわけではなく、2026年にはプラスの相関から強い逆相関へと短期間で向きが変わる場面も確認されました。相関の有無や強さは、そのときどきの市場環境によって変化するものと捉えておくとよいでしょう。
Qなぜビットコインの価格は為替相場の影響を受けるとされるのですか?
ビットコインは世界的にドル建てで取引される場面が中心で、日本国内で見る円建て価格はドル建ての価格に為替レートを掛け合わせた換算値だからです。加えて、ドルの強弱と連動する形で資金の流れが変わりやすいという市場心理的な側面も指摘されています。
Q円安・円高はそれぞれビットコイン価格にどう影響するとされていますか?
一般的には、円安が進むと換算効果で円建て価格が上昇しやすく、円高が進むと下落しやすいといわれます。ただし、これは一つの説明にすぎず、実際のデータでは円安局面で価格が下がったり、円高局面で上がったりする例も確認されています。
Q為替の影響でビットコインが急落した事例はありますか?
2024年7月31日の日本銀行の利上げをきっかけに円キャリートレードの巻き戻しが起こり、急激な円高とともにビットコインも前週比でおよそ20%下落した事例があります。株式市場とともに暗号資産も大きく値を崩しました。
Q為替を意識せずにビットコインを売買する方法はありますか?
CoinTradeのように、日本円の入金から購入までを円建てのまま完結できるサービスを利用する方法があります。購入のたびに自分でドルへ両替する必要がなく、為替レートを細かく計算しなくても取引を進められます。
まとめ
- ビットコインは主にドル建てで取引され、円建て価格は為替レートとの換算値である
- 円安・円高はビットコイン価格に影響するといわれるが、絶対的な関係ではない
- 2026年はビットコインとドルの相関がプラスから強い逆相関へと短期間で変化した
- 2024年8月には日銀の利上げをきっかけとした円キャリートレードの巻き戻しで急落が発生
- ドル円とビットコインの相関は今後も変わりうるものであり、一定の関係として保証されたものではない
- CoinTradeなら日本円のまま入金から購入までを完結できる
※1 本記事に記載のビットコイン価格・ドル円レートは、2026年7月時点の参考値です。 ※2 出典:VanEck「Bitcoin Long-Term Capital Market Assumptions」(2025年12月31日時点のBloombergデータに基づく分析) ※3 出典:JPモルガンの分析(2026年3月時点の報道にもとづく) ※4 出典:CoinDesk(2026年4月24日・6月30日の報道、TradingViewのデータに基づく分析) ※5 出典:2024年8月の市場報道にもとづく推計値 ※6 出典:日本銀行の金融政策決定に関する報道にもとづく