この記事はこんな方におすすめ!

  • 「秘密鍵」という言葉を目にしたが、具体的に何を指すのか分からない方
  • 暗号資産のウォレットを使い始める前に、秘密鍵の役割を理解しておきたい方
  • 秘密鍵を紛失・流出させた場合に何が起こるのか把握しておきたい方
  • 自分で鍵を管理せずに暗号資産を保有する方法も知っておきたい方

「秘密鍵」という言葉を暗号資産のウォレットの説明で目にしても、具体的に何を指すのかまでは分からないという方は少なくありません。この記事では、秘密鍵の基本的なしくみからウォレットとの関係、紛失時のリスク、管理方法の選び方までを解説します。

執筆:CoinTradeコラム編集部

目次

    秘密鍵の基本的なしくみ

    秘密鍵は、暗号技術の中でも公開鍵暗号方式と呼ばれる仕組みの中心的な要素です。まずは、暗号資産に限らない一般的な暗号技術としての位置づけを整理します。

    公開鍵と対になる暗号技術

    公開鍵暗号方式では、公開鍵と秘密鍵という2つの鍵が対になって作られます。公開鍵は誰に見られても構わない鍵である一方、秘密鍵は本人だけが厳重に保管しなければなりません。

    この2つの鍵は、公開鍵から秘密鍵を割り出すことが現実的にはできないという特殊な関係で結びついています。たとえるなら、鍵穴(公開鍵)を見ただけでは、対応する鍵(秘密鍵)の形までは分かりません。この性質が、公開鍵暗号方式の安全性を支えています。

    公開鍵と異なる役割

    公開鍵と秘密鍵は、それぞれ担う役割も異なります。データを暗号化したり、署名が本人によるものかを確認したりする場面では公開鍵が使われ、暗号化されたデータを元に戻したり、署名そのものを作ったりする場面では秘密鍵が使われます。

    暗号化されたデータを元に戻したり、署名を作ったりする作業は、秘密鍵を持たない人には行えません。秘密鍵を持つ本人だけが、これらの作業を行えます。この役割分担によって、通信相手を直接特定しなくても安全にやり取りできる仕組みが成立しています。

    ウォレットと秘密鍵の関係

    暗号資産の分野では、秘密鍵はウォレットの中核を担う存在になります。デジタル庁が野村総合研究所に委託し2026年3月に公表した調査報告書では、ウォレットは狭義には秘密鍵を保管する場所を指すと整理されています(※1)。

    ウォレットアドレスとの対応関係

    ウォレットのアドレスは、秘密鍵と対になる公開鍵をもとに生成されます。前掲の調査報告書では、この関係を銀行にたとえ、公開鍵にあたるアドレスは口座番号に、秘密鍵は暗証番号や銀行印に相当すると説明されました(※1)。

    アドレス宛に届いた資産そのものを実際に動かすには、秘密鍵による署名が必要です。口座番号を知っているだけでは口座からお金を引き出せないのと同じように、アドレスが分かっているだけでは、その資産を送金することはできません。

    シードフレーズとの関係

    多くのウォレットでは、秘密鍵をそのまま記録する代わりに、シードフレーズと呼ばれる単語の並びでバックアップする仕組みが採用されています。シードフレーズが分かれば秘密鍵を復元できるため、軽く扱ってよいものではありません。

    シードフレーズと秘密鍵は役割こそ異なるものの、どちらか一方が第三者に渡れば資産を動かされてしまう点は共通しています。ウォレットの初期設定でシードフレーズが表示された際は、秘密鍵に準じる重要な情報として扱う必要があります。

    秘密鍵を失ったときのリスク

    秘密鍵やその復元手段であるシードフレーズを失うと、記録上は存在する資産であっても動かせなくなります。ここでは、国内の調査データをもとに、その実態を確認します。

    紛失に関する実態調査

    株式会社Claboが2026年4月10日に実施した調査(国内在住の暗号資産投資経験者、有効回答746名)によると、秘密鍵を紛失して資産を失った人は19.4%、紛失しかけた人は25.9%、紛失したが復旧できた人は16.1%、紛失の経験がない人は38.6%という結果でした(※2)。何らかの形で紛失に直面した経験がある人を合計すると、6割を超えています。

    同調査で紛失トラブルに遭った265人のうち、復旧に成功した割合は45.3%にとどまり、54.7%が資産を失っています。20代の紛失経験率は67.3%で、60代の27.1%より高い傾向も見られました。

    秘密鍵の保管方法とセキュリティ意識の実態

    デジタル庁が野村総合研究所に委託した前掲の調査報告書では、秘密鍵やシードフレーズの管理方法についても調べられました。最も多かったのは「PCやスマートフォンのメモ帳・ファイルへの保存(スクリーンショットを含む)」で38.3%、次いで「紙に書き写して保管」が32.1%、「パスワード管理ツールで管理」が25.7%という結果です(※1)。

    オンライン端末に平文や画像の状態で保存する方法は、セキュリティリスクが高いとされる保管方法です。それでも約4割の利用者がこの方法を選んでおり、同調査では秘密鍵やシードフレーズの失念を経験した割合が全体で11.7%(Web3経験5年以上は13.6%、5年未満は10.4%)にのぼるという結果も示されました。

    注意

    秘密鍵やシードフレーズの控えを1か所にしか残していないと、端末の故障や紛失時に復元できなくなる可能性があります。

    秘密鍵の管理方法を選ぶ

    秘密鍵の管理方法は、大きく「自分で保管する方法」と「暗号資産交換業者に管理を委ねる方法」に分けられます。前掲の調査報告書では、この違いを「アンホステッド・ウォレット」と「ホステッド・ウォレット」という呼び方で整理しています(※1)。

    自分で保管する方法

    アンホステッド・ウォレット(ノンカストディアル・ウォレットとも呼ばれます)は、利用者自身が自己責任で秘密鍵を管理する形式です。ウォレット開発者や暗号資産交換業者といった第三者は、鍵の管理に関与しません。

    具体的な保管手段としては、ハードウェアウォレットに保管する方法や、紙に書き写してインターネットから切り離した状態で保管する方法があります。どの手段を選ぶ場合でも、控えを1か所に集中させず分散して残しておく考え方が基本になります。

    暗号資産交換業者に管理を委ねる方法

    ホステッド・ウォレット(カストディアル・ウォレットとも呼ばれます)は、暗号資産交換業者などの事業者が利用者の秘密鍵を預かって管理する形態です。事業者側で鍵を管理するため、利用者がパスワードを紛失しても、本人確認等の手続きを経て復旧しやすいという特徴があります。

    CoinTradeも、暗号資産交換業者としてこの形態でサービスを提供しています。暗号資産の売買や送金を行う際には二段階認証が必須となっており、口座へのログインや資産の移動には、パスワードに加えたもう一段階の確認が求められる仕組みです。

    よくある質問

    Q秘密鍵とパスワードは同じものですか?

    秘密鍵とパスワードは役割が異なり、パスワードが本人確認のための文字列であるのに対して、秘密鍵は暗号技術上、データの復号やデジタル署名の作成に使われる鍵そのものを指します。ウォレットによっては、秘密鍵を保護する目的でパスワードを別途設定できる場合もあります。

    Q秘密鍵とシードフレーズはどう違いますか?

    秘密鍵は暗号技術上の鍵そのものであるのに対し、シードフレーズは秘密鍵を単語の並びとして扱いやすくしたバックアップの仕組みです。シードフレーズが分かれば秘密鍵を復元できるため、実質的には同じ重みで管理する必要があります。

    Q秘密鍵を紛失すると資産を復元できますか?

    秘密鍵やシードフレーズの控えが他に残っていれば、そこから資産を復元できる場合があります。株式会社Claboの調査では、紛失トラブルに遭った人のうち復旧に成功した割合は45.3%にとどまり、控えが一切ない場合は復元が難しくなる傾向がうかがえます(※2)。

    Q秘密鍵はどこに保管するのが安全ですか?

    絶対的に安全な保管場所はありませんが、インターネットから切り離したハードウェアウォレットや、控えを複数箇所に分散させる方法が一般的です。PCやスマートフォンへの平文・画像での保存は、セキュリティリスクが高い方法とされています。

    Q暗号資産交換業者を利用すれば秘密鍵を自分で管理しなくてよいのですか?

    暗号資産交換業者を利用する場合、秘密鍵は事業者側が預かって管理するため、利用者自身が保管・バックアップする手間はかかりません。CoinTradeでも、暗号資産の売買や送金には二段階認証が必須となっており、事業者側での管理を前提とした仕組みが整っています。

    まとめ

    • 秘密鍵は公開鍵暗号方式における鍵の一つで、復号やデジタル署名の作成に使われる
    • 暗号資産のウォレットでは、秘密鍵が資産の所有権を証明し送金の署名を行う
    • 株式会社Claboの調査では、紛失トラブルに遭った人の復旧成功率は45.3%にとどまる
    • デジタル庁の委託調査では、秘密鍵の保管方法としてPCやスマホへの平文保存が38.3%で最多だった
    • 秘密鍵の管理方法には、自分で保管する方法と暗号資産交換業者に委ねる方法がある
    • CoinTradeでは暗号資産の売買・送金に二段階認証が必須となっている

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    ※1 出典: デジタル庁「令和7年度 Web3分野におけるアンホステッド・ウォレットに係る整理・検討に関する調査」報告書(受託: 株式会社野村総合研究所、2026年3月公表) ※2 出典: 株式会社Clabo「暗号資産の保管リスクを徹底解剖|調査でわかった紛失の原因」(2026年4月10日実施、有効回答746名)