SNSや暗号資産のニュースでミームコインという言葉を見かけるものの、ビットコインのように実用的な目的を掲げる暗号資産と何が違うのか、はっきりしないまま気になっている方もいるかもしれません。この記事では、ミームコインの成り立ちから、価値がつく仕組み、代表的な銘柄、押さえておきたいリスク、そして法律上の扱いまでを解説します。
執筆:CoinTradeコラム編集部
※本記事は2026年8月2日時点の情報であり、今後の法改正等により相違が生じることがあります。
ミームコインとは
ミームコインとは、インターネット上で広まったジョークやキャラクターをモチーフに作られた暗号資産(仮想通貨)を指します。決済手段の提供やアプリ開発の基盤づくりといった技術的な目的を主眼に置かずに誕生した点が、他の暗号資産との大きな違いになっています。
ミームコインが生まれた経緯
ミームコインの原型とされるのは、2013年12月に公開されたドージコインです。ビットコインのパロディとして作られ、当時インターネット上で人気を集めていた柴犬の画像をモチーフにしていました。企業や財団が事業のために発行したものではなく、インターネット上のコミュニティを起点に広がった点に特徴があります。
日本でも同じころ、モナコインが生まれています。2013年12月にベータ版が、2014年1月に正式版が公開され、インターネット掲示板で親しまれていたアスキーアート「モナー」をモチーフとしました。開発を主導する企業を持たず、コミュニティを主体として発展してきた経緯は、ドージコインとよく似ています。
実用目的の暗号資産との違い
ミームコインと他の暗号資産の違いは、何を出発点として設計されたかにあります。ビットコインは価値を移す手段として、イーサリアムはアプリケーションを動かす基盤として、それぞれ解決したい技術的な課題を掲げて生まれました。
一方でミームコインは、話題性やユーモアそのものが出発点になっています。技術的な構想を文書で示すよりも、モチーフの面白さや共感が先に立ち、それに共鳴した人が集まることでプロジェクトが形になっていくケースが少なくありません。
価格を支える要因も、両者では大きく異なります。実用目的の暗号資産では技術の進展や利用の広がりが手がかりになる一方、ミームコインでは注目がどれだけ集まるかが価格をほぼ決めます。
ミームコインに価値がつく仕組み
実用的な用途を主眼に置いていない暗号資産に価格がつく背景には、技術やサービスの利用価値とは別の要因があります。買い手がどこから現れるのかという点をたどると、その仕組みが見えてきます。
コミュニティの結束が支える需要
ミームコインの需要は、保有者同士のつながりそのものから生まれます。SNS上で銘柄について語り合い、モチーフを共有する行為が新たな関心を呼び、参加者が増えるほど認知が広がっていく構造は、ネットワーク効果と呼ばれるものです。
コミュニティの規模は、ブロックチェーン上のデータからも読み取れるでしょう。ドージコインは残高がゼロでない保有アドレスが800万件を超えており、ビットコインとイーサリアムに次ぐ規模の利用者基盤を持つとされています(※1)。柴犬コインの保有アドレス数は約167万件にのぼり、2025年の集計では保有者の約78%が1年以上保有を続けていたと報告されました(※1)。
著名人の発信が価格に与える影響
著名人や政治に関わる人物の発信は、ミームコインの価格を大きく動かす要因になってきました。2025年1月18日に立ち上げられた$TRUMPは、翌19日に75.12ドルの最高値を付けています(※2)。
その後は下落が続き、2025年12月時点では約5.7ドル前後と、最高値から9割以上低い水準で推移しました(※2)。ブロックチェーン分析を手がけるChainalysisによれば、この銘柄を購入した約76万4,000のウォレットが含み損を抱える一方、1,000万ドル以上の利益を得たアドレスは58にとどまります(※2)。話題性による急騰が、保有者全体の利益に結びつくとは限りません。
同じような値動きは、以前から繰り返されてきました。2021年1月にイーロン・マスク氏がX(旧Twitter)でドージコインに言及した局面でも、発信をきっかけに関心が一気に集まっています。
誰でも発行できる仕組みの広がり
ミームコインが次々と生まれる背景には、発行のハードルが下がったことがあります。Solanaブロックチェーン上のPump.funのようなプラットフォームでは、専門的な知識がなくても、簡単な入力だけで誰でもトークンを発行できます。
誰でも発行できる状態は、新しいトークンの数そのものを押し上げました。Chainalysisが2025年に公表した報告によれば、2024年中に新たに発行されたトークンは300万を超えています(※3)。ただし直近30日間に活発な取引があったものは1.7%にとどまり、発行のしやすさが流通の定着には結びついていません(※3)。
代表的なミームコインの銘柄
ミームコインと呼ばれる銘柄は数多く存在するものの、市場で広く知られているものは限られます。ここで取り上げる3つは、いずれも国内でも名前を聞く機会が多い銘柄です。取り扱いの状況や仕様は変更されることがあるため、実際に購入を検討する際は各サービスの公式発表をご確認ください。
| 銘柄 | 登場時期 | 基盤と |
誕生の |
|---|---|---|---|
| ドージコイン(DOGE) | 2013年12月 | 独自の |
ビットコインの |
| 柴犬コイン(SHIB) | 2020年8月 | イーサリアム | ドージコインの |
| ペペ(PEPE) | 2023年4月 | イーサリアム | 長く親しまれたカエルの |
ドージコイン
ドージコインは、2013年12月に公開された最初期のミームコインです。当時インターネット上で人気だった柴犬の画像をモチーフとし、ビットコインのパロディとして作られました。
技術的にはライトコインの仕組みを土台としており、ブロックが作られる間隔は1分に設定されています。土台となったライトコインの2.5分よりも短く、送金の確認までにかかる時間が抑えられました。
国内でも2024年以降、金融庁に登録された複数の暗号資産交換業者が順次取り扱いを始めました。日本国内のサービスを通じて購入できる、数少ないミームコインの一つになっています。
柴犬コイン
柴犬コインは、2020年8月にドージコインのパロディとして登場した銘柄です。イーサリアム上で発行されるERC-20規格のトークンにあたり、特定の企業ではなくコミュニティが主体となって運営されてきました。
ミームを起点としながら、用途の広がりにも取り組んでいます。独自のレイヤー2ネットワーク「Shibarium」の開発はその一例で、取引の処理を専用のネットワークに移す仕組みが用意されました。
国内での取り扱いは、2023年末から始まりました。日本円を入金してそのまま購入できるため、国内で保有しやすい銘柄の一つになっています。
ペペ
ペペは、2023年4月にイーサリアム上で発行されたミームコインです。インターネットで長く親しまれてきたカエルのキャラクターをモチーフにしており、キャラクターの原作者とは関係のないプロジェクトである旨が公式に示されています。
発行にあたっては、事前販売も運営チームの紹介も開発計画の公表も行われませんでした。トークンを発行して公開するだけという形をとり、その後の広がりをコミュニティに委ねた点が、この銘柄の特徴になっています。
保有や送金のたびに手数料を上乗せする、いわゆるトークン税を課さない簡素な設計を採っています。国内での取り扱いは2024年10月以降に始まりました。ただし、ドージコインや柴犬コインと比べると、日本国内で扱う暗号資産交換業者は限られています。
ミームコインを取り巻くリスク
ミームコインには、他の暗号資産以上に注意しておきたい要素がいくつかあります。値動きの幅、発行者による意図的な行為、そして取引環境という3つの角度から見ていくと、性質がつかみやすくなるでしょう。
価格変動の大きさ
ミームコインの価格は、実用目的の暗号資産と比べても振れ幅が大きくなりがちです。需要の中心が話題性にあるため、価格を下から支える材料が乏しいことが背景にあります。事業から得られる収益や実際の利用実績といった裏づけは、多くの銘柄で見当たりません。
関心が他のテーマへ移ると、買い手は急速に減っていきます。上昇局面で何倍にもなった銘柄が同じ速さで元の水準まで戻る展開も実際に起きており、値上がりの実績が次の値動きを保証する材料にはなりません。
発行者による詐欺的な行為
ミームコインで特に警戒されているのが、ラグプルと呼ばれる手口です。開発者が資金を集めた後に流動性を引き揚げてしまい、保有者が売却できないまま価格が事実上無価値になる状態を指します。
規模の大きさは、調査データからも見て取れました。Solidus Labsが2025年5月に公表した調査によると、Pump.funで発行された700万を超えるトークンのうち、流動性1,000ドル以上を維持できたものは約9.7万件にとどまっています(※4)。発行されたトークンの98.6%は、ラグプルまたは価格をつり上げた後の売り抜けに分類されました(※4)。
新しく発行された銘柄は、SNSを通じて紹介される形で広まります。運営主体や資金の動きを確かめられないまま参加すると、こうした手口に巻き込まれる可能性が高まるでしょう。
日本国内で暗号資産の交換業を行うには、金融庁への登録が必要とされています。登録を受けた事業者の一覧は、暗号資産の利用者のみなさまへ(金融庁) から確認できます。
保有の偏りと流動性の乏しさ
新しく発行された銘柄ほど、売買の相手が見つかりにくい状況に置かれます。買いたい人と売りたい人の数が少ないと、希望する価格や数量で取引が成立せず、想定より不利な条件で約定することもあります。
コミュニティの規模が大きい銘柄でも、保有が特定の少数に偏っている場合は少なくありません。オンチェーンの保有分布の集計では、柴犬コインは保有アドレス全体の0.04%にあたる700ほどのアドレスが、時価総額の9割超を占めるとされています(※5)。大口の保有者がまとまった売買を行った際に、価格が大きく振れる場面も見られました。
判断の材料そのものが乏しい銘柄も存在します。運営主体が明らかでなかったり、構想を示す文書が公開されていなかったりする場合、何をもとに評価すればよいかがわかりません。
ミームコインは法律上どう扱われるか
値動きの大きさや詐欺的な行為があると聞くと、ミームコインが制度の外側にある存在に思えるかもしれません。実際には、日本でも米国でも一定の枠組みの中に位置づけられており、その内容は近年大きく動いています。
日本での位置づけ
日本では、ミームコインも資金決済法上の暗号資産の定義に当てはまる場合、他の暗号資産と同じ枠組みに入ります。銘柄そのものが個別に承認される仕組みではなく、売買を業として取り扱う事業者の側に登録の義務がかかる構造です。
この枠組みは、2027年度にかけて大きく変わる見込みとなりました。暗号資産に関する規制を資金決済法から金融商品取引法へ移す改正法が2026年7月15日に成立し、暗号資産は法律上「金融商品」として位置づけられます(※6)。
改正後は、公表前の情報にもとづく売買を禁じるインサイダー取引の規定が整備されるほか、無登録で業務を行った場合の罰則も重くなります。拘禁刑は3年以下から10年以下へ、罰金は300万円以下から1,000万円以下へ引き上げられました(※6)。ミームコインもこの枠組みの対象に含まれるため、施行に向けて運用が具体化していく段階にあります。
米国で示された証券該当性の判断
米国では、ミームコインが証券に当たるかどうかについて一つの見解が示されました。米国証券取引委員会(SEC)の企業金融局が、2025年2月27日にスタッフ声明を公表しています(※7)。
声明では、インターネット上のミームやキャラクター、時事の話題などに着想を得た典型的なミームコインについて、その募集や売買は連邦証券法上の証券の募集・売買には当たらないとの考えが示されています。ただし、この見解は声明が説明する内容に合致しないものには及ばず、証券に当たる商品をミームコインと称して法の適用を免れようとする場合も対象外だと明記されました(※7)。
同じ委員会の中でも、判断は分かれています。キャロライン・クレンショー委員はこの声明に対して異なる見解を表明しており、位置づけをめぐる議論が続いている状況がうかがえます。なお、これはあくまで米国での判断であり、日本の制度がこれに従って変わるわけではありません。
利益が出たときの税金
ミームコインで利益が出た場合の扱いは、他の暗号資産と変わりません。現行制度では売買で生じた利益は原則として雑所得に区分され、給与など他の所得と合算して課税されます。
税率の高さは長く指摘されてきた点で、現在は見直しが進んでいます。令和8年度税制改正では、一定の暗号資産について申告分離課税へ移行する方向が示され、損失を繰り越して控除できる仕組みもあわせて盛り込まれました(※8)。適用が始まるのは早ければ2028年1月からと見込まれています(※8)。
注目しておきたいのは、分離課税の対象範囲です。この仕組みが適用されるのは「国民の資産形成に資する暗号資産」に限るとされており、どの銘柄が該当するかは現時点で示されていません(※8)。ミームコインが対象に含まれるかどうかも、まだ確定していない状況にあります。
現行制度では雑所得として総合課税の対象となり、税率は住民税を含めて最大でおよそ55%です。改正後は一定の暗号資産に限り申告分離課税の20.315%となり、損失は3年間の繰越控除が認められます。個別の取り扱いや申告の方法は 国税庁 の公表資料で確認できます。
ミームコインの買い方
ミームコインを実際に購入する場合、まず考えることになるのが、どこで買うかという点です。日本国内では、金融庁に登録された暗号資産交換業者を通じて購入する形が基本になります。
国内で取り扱いのある銘柄とない銘柄
国内の登録業者で購入できるミームコインは、ドージコインや柴犬コインなど一部の銘柄に限られます。いずれも取り扱いが始まってから時間が経っており、日本円で直接購入できる環境が整いました。
一方で、新しく発行されるミームコインの多くは国内では扱われていません。日本の資金決済法や改正後の金融商品取引法にもとづく利用者保護の仕組みは、国内の登録業者を利用する場合に適用されるものです。
国内で扱われている銘柄であれば、日本円の入金から購入までを一つのサービス内で完結できます。まずはどの銘柄が国内で購入できるのかを確かめるところから始めると、手続きの見通しが立てやすくなるでしょう。
口座開設から購入までの流れ
国内の暗号資産交換業者を利用する場合、購入までの手順は大きく4つに分かれます。利用しようとしているサービスが金融庁の登録を受けているかどうかは、公表されている一覧で確かめられます。
-
1
口座を申し込む
メールアドレスの登録とパスワードの設定を行い、氏名や住所などの基本情報を入力して申し込みを進めます。
-
2
本人確認を行う
本人確認書類を用意し、各サービスが定める方法で申請します。審査が終わると取引を始められる状態になります。
-
3
日本円を入金する
銀行振込などの方法で日本円を入金します。残高に反映されるまでの時間はサービスによって異なります。
-
4
銘柄を選んで購入する
購入したい銘柄と金額を指定して注文を確定させ、保有している数量を画面で確認します。
よくある質問
Qミームコインと、ビットコインのような実用目的の暗号資産は何が違いますか?
大きな違いは、何を出発点に設計されたかという点です。ビットコインは価値を移す手段として技術的な課題を掲げて生まれました。ミームコインは話題性やユーモアが出発点にあり、注目の集まり方が価格に反映されやすくなります。
Q新しく発行されたミームコインは、日本の暗号資産交換業者でも買えますか?
新しく発行された銘柄の多くは、国内の登録業者では取り扱われていません。国内で購入できるのは、ドージコインや柴犬コインなど一部の銘柄に限られます。取り扱いは時期によって変わるため、購入前に各サービスの公式発表を確認してください。
Qミームコインの取引で利益が出た場合、税金の扱いはどうなりますか?
他の暗号資産と同じ扱いになり、現行制度では原則として雑所得に区分されます。給与など他の所得と合算する総合課税の対象で、税率は住民税を含めて最大でおよそ55%です。令和8年度税制改正では申告分離課税への移行が示されましたが、対象となる銘柄の範囲はまだ具体的に示されていません。
Qミームコインの発行元が信頼できるかを確認する手がかりはありますか?
運営主体が公表されているか、構想を示す文書が用意されているかは、一つの手がかりになります。発行や流通の状況をブロックチェーン上で確認する方法もありますが、判断材料そのものが乏しい銘柄も存在します。売買を扱うサービスについては、金融庁が公表する登録業者の一覧で確かめられるでしょう。
Qミームコインは今後も残っていくと考えられているのですか?
先行きを断定できる材料は、現時点で見当たりません。国内の登録業者による取り扱いが広がってきた一方、新たに発行されるトークンの多くは取引の定着に至っていないという調査もあります。実用的な収益源を持たない銘柄では、関心が他へ移った際に価格を支える要因が乏しくなります。
まとめ
- ミームコインとは、インターネット上のジョークやキャラクターをモチーフに作られた暗号資産のこと
- 価値の源泉は技術的な用途ではなく、コミュニティの規模と話題の広がりにある
- 代表的な銘柄はドージコイン・柴犬コイン・ペペで、いずれも誕生の背景が異なる
- 値動きの幅が大きく、ラグプルなど発行者による詐欺的な行為や保有の偏りにも注意が必要
- 日本では2026年7月に改正金商法が成立し、暗号資産は金融商品として位置づけられる見込み
- 国内で買えるのは一部の銘柄に限られ、購入は金融庁に登録された暗号資産交換業者を通じて行う
※1 保有アドレス数はブロックチェーン上の集計にもとづく公開データ。1人が複数のアドレスを保有する場合があるため、保有している人数とは一致しない。 ※2 Official Trump(TRUMP)の価格推移、およびChainalysisによる保有ウォレットの分析(2025年)。 ※3 Chainalysisが2025年に公表したレポート(2024年に発行されたトークンに関する分析)。 ※4 Solidus Labs「Solana Rug Pulls & Pump-and-Dumps」(2025年5月公表)。 ※5 柴犬コインの保有分布は、ブロックチェーン上の集計にもとづく公開データ。 ※6 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(2026年7月15日成立)。 ※7 米国証券取引委員会 企業金融局「Staff Statement on Meme Coins」(2025年2月27日)。 ※8 令和8年度税制改正大綱等の公表資料。適用時期および対象範囲は今後の法令で確定する。