暗号資産の中でも名前をよく耳にする「イーサリアム」ですが、ビットコインとの違いや、実際に何に使われているのかがよくわからないという方は少なくありません。本記事では、イーサリアムの基本的な仕組みや特徴、活用事例からリスク、購入方法までをわかりやすく整理します。
執筆:CoinTradeコラム編集部
※本記事は2026年8月18日時点の情報であり、今後の法改正等により相違が生じることがあります。
イーサリアム(ETH)とは
プラットフォームとしてのイーサリアム
イーサリアムは、ブロックチェーン上でプログラムを実行できる分散型のプラットフォームです。このプラットフォーム上で使われる暗号資産は、ETHと呼ばれています。ETHには、ネットワークを利用する際の手数料(ガス代)の支払い、ステーキングによるネットワークの保護、送金や投資の対象となるデジタルマネーという3つの役割があります。
誰が開発したのか
イーサリアムは、プログラマーのヴィタリック・ブテリン氏が中心となって考案しました。2013年11月、当時19歳だったブテリン氏が新しいブロックチェーンの構想を発表しています。翌2014年にはギャビン・ウッド氏やジョセフ・ルービン氏らが共同創設者として加わり、正式なホワイトペーパーが公開されました(※1)。同年7月から8月にかけて実施されたクラウドセールでは、当時のビットコイン換算で約31,000BTC相当の資金が集まっています(※1)。2015年4月の「Olympic」テストネットを経て、2015年7月30日にはコードネーム「Frontier」としてメインネットが正式にローンチしました(※1)。
ビットコインとの違い
2026年8月17日時点の時価総額は、ビットコインが約1兆2,656億ドルで1位、イーサリアムが約2,281億ドルで2位です(※2)。コンセンサスの仕組みにも違いがあります。ビットコインはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用し続けているのに対し、イーサリアムは2022年9月の「The Merge」でプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ完全移行しました。また、発行上限についても、ビットコインは2,100万枚のハードキャップを持ちますが、イーサリアムには固定の上限がなく、手数料の一部を焼却し、ネットワーク維持に必要な分だけ発行する仕様になっています。さらに、ビットコインが送金や価値保存を主目的とするのに対し、イーサリアムはスマートコントラクトを実行するプログラム基盤としての性格が強いのが特徴です。
| 項目 | ビットコイン(BTC) | イーサリアム(ETH) |
|---|---|---|
| 時価総額順位 | 1位 | 2位 |
| コンセンサス方式 | PoW(プルーフ |
PoS(プルーフ |
| 発行上限 | 2,100万枚 | 上限なし |
| 主な用途 | 送金 |
スマートコントラクトの |
※時価総額順位は2026年8月17日時点の情報です
イーサリアムの仕組みと特徴
ここからは、イーサリアムを支える技術的な仕組みを確認します。
スマートコントラクトの仕組み
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上に保存されたプログラムのことで、あらかじめ定めた条件を満たすと自動的に実行される仕組みです。「もしこうなったら、こう実行する」という条件分岐のロジックがコードとして記述されており、人の判断や交渉を挟まず、決定論的に処理が進みます。身近な例が、商品を選んで代金を支払うと自動的に商品が排出される自動販売機です。また、指定した日付を過ぎるまで資金を引き出せないようにするエスクロー(資金保管)契約も、応用例として知られています。
ERC規格とトークンの発行
イーサリアム上でトークンを発行する際には、ERCと呼ばれる共通規格が使われます。代表例の一つがERC-20で、代替可能なトークンの規格として2015年11月にファビアン・フォーゲルシュテラー氏らによって提案されました(※3)。これは、transferやbalanceOfといった共通の関数を定めることで、異なるトークンでもウォレットや取引所が同じ方法で扱える規格です。同じく代表的な規格がERC-721で、一点ものの資産を表すNFT(非代替性トークン)の規格として2018年1月にディーター・シャーリー氏らによって提案されています(※3)。ERC-20が同じ価値の単位を表すのに対し、ERC-721は個々のトークンに一意のIDを持たせ、唯一無二のデジタル資産の所有権を表現できる点が異なります。
手数料の仕組み「ガス(Gas)」
イーサリアムを利用する際にかかる手数料は「ガス」と呼ばれ、1ETHの10億分の1を表す「Gwei」という単位で示されます。2021年8月の「London」アップグレードでは、手数料の仕組みを変える「EIP-1559」が導入されました。これにより、手数料はネットワークの混雑度に応じて自動調整される「base fee」と、処理を優先してもらうためにユーザーが上乗せする「priority fee」の合計で決まるようになっています(※4)。base fee部分は支払われると同時に焼却され、二度と発行されません。この焼却の仕組みにより、ネットワークの利用が活発な時期には供給量が減少方向に働くこともあります。
イーサリアムの歴史・沿革
イーサリアムは、誕生からこれまでにいくつかの大きな転機を経験してきました。
誕生からThe DAO事件まで
イーサリアムは、前述の通り2015年7月30日にメインネットをローンチしています。その約1年後の2016年6月17日には、分散型の投資ファンド「The DAO」のスマートコントラクトに存在した脆弱性が悪用されました。この攻撃により、約360万ETH、当時の価格で6,000万ドルを超える資金が不正に送金される事件が発生しています(※5)。この事件を受け、コミュニティの合意のもと2016年7月20日にハードフォークが実施され、不正送金された資金は回収用のコントラクトへ移動し、被害者への返還が可能になっています(※5)。しかし、このフォークに反対した一部の参加者は旧チェーンの運用を続け、その結果「イーサリアム(ETH)」と「イーサリアムクラシック(ETC)」への分岐が生まれました。
The Mergeとプルーフ・オブ・ステークへの移行
2022年9月15日には、「The Merge」と呼ばれる大型アップデートが実施され、それまでのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)によるマイニングが廃止されました。移行後は、ETHをステーキングした参加者がネットワークの検証を担うプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の仕組みに完全移行しています。この移行による消費電力の削減幅は、推定99.95%です(※6)。その後もアップデートは続いています。ステーキングしたETHの引き出しを可能にした2023年4月の「上海(Shanghai/Capella)」、レイヤー2の手数料削減につながる2024年3月の「Dencun」などが代表例です。バリデータの最大ステーク量の引き上げを含む2025年5月の「Pectra」も、この流れに含まれます(※6)。
イーサリアムの活用事例
イーサリアムは、多様なアプリケーションの基盤としても利用されています。
DApps(分散型アプリ)での活用
イーサリアム上では、DeFi(分散型金融)やNFTマーケットプレイスなど、スマートコントラクトを利用した多数のDApps(分散型アプリ)が稼働しています。分散型取引所(DEX)の代表例がUniswap、リキッドステーキングサービスの代表例がLidoです。DeFiに預けられた資産総額(TVL)で比較すると、イーサリアムは他のどのブロックチェーンよりも多くの資金を集めており(※7)、こうしたエコシステムの厚みは、先行者としての強みを示しています。
NFTでの活用
イーサリアムは、NFT(非代替性トークン)を扱うブロックチェーンの中で最大のマーケットシェアを持つとされています(※8)。NFTのサービスの多くはERC-20やERC-721といった共通規格の上に成り立っており、こうした標準化はエコシステム拡大を後押ししてきた要因の一つです。一方、近年はマルチチェーン化が進み、イーサリアムのシェアはやや低下してきているとの指摘もあります。
イーサリアムのリスク・注意点
特徴や活用事例に加えて、イーサリアムには押さえておきたいリスクもあります。
スケーラビリティ問題とガス代の高騰
利用者やトランザクションが増えてネットワークが混雑すると処理が追いつかずガス代が跳ね上がる現象は、「スケーラビリティ問題」と呼ばれ、イーサリアムの長年の課題です。2021年のDeFi・NFTブーム期には、平均的なガス価格が80から180Gwei程度まで上昇し、単純な送金や取引でも数十ドルの手数料がかかる場面が見られました(※9)。ピーク時には1,000Gweiを超える水準まで高騰し、簡単なトークンの交換だけで200ドルを超える手数料が発生したケースもありました(※9)。EIP-1559の導入やThe Mergeを経て平均的なガス価格は大きく下がっていますが、ネットワークが混雑する場面では再び手数料が上昇する可能性が残ります。
価格のボラティリティの大きさ
イーサリアムの価格変動の大きさも、重要なリスクです。例えば、2021年11月には当時の史上最高値となる約4,800〜4,900ドルを記録しています。2022年に入るとテラ・ルナの崩壊や大手ファンドの経営破綻などが重なり、同年6月には約1,000ドル前後まで下落したと報じられています(※10)。また、2025年8月には約4,950ドルとそれまでの高値を更新したものの、2026年8月17日時点では1,890ドル前後で推移しており、直近の高値からは6割を超えて下落しました(※11)。
イーサリアムをはじめとする暗号資産は、短期間で価格が大きく上下する傾向があります。実際に取引する際は、余剰資金の範囲内で行うことが重要です。
イーサリアムの将来性
開発ロードマップと今後のアップデート
2025年12月に実施された「Fusaka」アップグレードに続き、次の大型アップデート「Glamsterdam」が2026年内に予定されています。Glamsterdamでは、ブロックの提案者と構築者の役割を分離する仕組みや、取引の並列処理を可能にする仕組みの導入が検討されています(※12)。制度面では、米国で2024年7月に現物イーサリアムETFの取引が始まり、2025年は年間を通じておおむね資金の純流入が続きました。2025年8月には、月間のイーサリアムETFへの資金流入額が同月のビットコインETFを上回る場面も見られ、機関投資家の関心の高まりがうかがえます(※13)。
イーサリアムの購入方法
最後に、イーサリアムを実際に購入する方法を紹介します。
暗号資産交換業者での購入方法
イーサリアムは、国内の暗号資産交換業者を通じて日本円で購入できます。一般的には、口座開設の申し込み、スマートフォンでの本人確認書類の提出、銀行口座からの入金を経て、実際の購入操作に進むという流れになります。国内の暗号資産交換業者は犯罪収益移転防止法に基づく本人確認義務を負っており、利用にあたっては本人確認の完了が前提です。事業者によって取扱通貨や手数料体系は異なるため、口座開設前に確認しておく必要があります。
CoinTradeでイーサリアムを購入する方法
CoinTradeでは、取扱銘柄の一つとしてイーサリアムを扱っており、口座開設から売買、ステーキングまでスマートフォンアプリで完結する仕組みです。また、CoinTradeはステーキングサービス「CoinTrade Stake」でイーサリアムを取り扱っているため、保有するETHを預けることでステーキング報酬を受け取ることができます。
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1
アプリから口座開設を申し込む
CoinTradeの公式アプリをダウンロードし、案内に沿って新規登録の手続きを行う。
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2
本人確認を行う
マイナンバーカードなどのICチップをスマートフォンで読み取り、必要事項を入力する。
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3
日本円を入金する
指定された口座への振込により、購入に充てる残高を用意する。
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4
イーサリアムを購入する
アプリの売買画面でイーサリアムを選び、購入する数量または金額を指定する。
よくある質問
Qイーサリアムとビットコインの違いは何ですか?
イーサリアムとビットコインは、コンセンサスの仕組みや発行上限、用途の点で違いがあります。ビットコインはプルーフ・オブ・ワークを採用し発行上限が2,100万枚と決まっているのに対し、イーサリアムは2022年のThe MergeでPoSへ移行しており、発行上限も設けられていません。用途としても、ビットコインは送金や価値保存、イーサリアムはスマートコントラクトを実行するプログラム基盤という違いがあります。
Qイーサリアムのガス代(手数料)はなぜ高くなるのですか?
ガス代は、ネットワークの利用が集中して混雑すると上昇する仕組みになっています。2021年のDeFi・NFTブーム期には、ピーク時のガス価格が1,000Gweiを超え、簡単な取引でも高額な手数料がかかる場面がありました。EIP-1559の導入やThe Mergeを経て平均的な水準は下がっていますが、混雑時には再び上昇する可能性があります。
Qイーサリアムの将来性は高いですか?
2026年内に予定される「Glamsterdam」アップグレードや、米国での現物ETFへの資金流入といった技術・制度面の動きが、今後の展開を左右する材料になります。ガス代の高騰や価格の変動といったリスクも、あわせて踏まえておく必要があります。
Qイーサリアムはどこで購入できますか?
国内の暗号資産交換業者を通じて、日本円でイーサリアムを購入できます。CoinTradeでも取扱銘柄の一つとしてイーサリアムを扱っており、口座開設から購入、ステーキングまでアプリ内で完結します。
Q「イーサリアム2.0」とは何ですか?現在のイーサリアムとの違いはありますか?
「イーサリアム2.0」は、The MergeによるPoSへの移行など、一連のアップグレード計画を指して使われてきた呼び方です。移行が完了した現在は、公式には単に「イーサリアム」と呼ばれています。
まとめ
- イーサリアムはスマートコントラクトを備えた分散型プラットフォームで、通貨単位はETHである
- ERC規格によるトークン発行とガス(Gas)による手数料の仕組みが特徴である
- The DAO事件やThe Mergeを経て、PoWからPoSへ移行してきた歴史を持つ
- DApps・NFT・DeFiの基盤として幅広く活用されている
- スケーラビリティやガス代高騰、価格のボラティリティといったリスクも存在する
- 継続的なアップグレードと現物ETFへの資金流入が今後の展開を左右する
※1 出典:Ethereum Foundation「History of Ethereum: founder, launch and ownership」 ※2 出典:CoinMarketCap「Bitcoin」「Ethereum」価格ページ(2026年8月17日確認) ※3 出典:Ethereum「EIP-20: Token Standard」「EIP-721: Non-Fungible Token Standard」 ※4 出典:Ethereum「EIP-1559: Fee market change for ETH 1.0 chain」、Ethereum Foundation「Timeline of all Ethereum forks」 ※5 出典:CoinDesk「The DAO Attacked: Code Issue Leads to $60 Million Ether Theft」(2016年6月17日)、Ethereum Foundation公式ブログ「Hard Fork Completed」(2016年7月20日) ※6 出典:Ethereum Foundation「The Merge」ロードマップページ、「Timeline of all Ethereum forks」 ※7 出典:DeFiLlama(Chains API/Protocol TVL API、2026年8月17日時点) ※8 出典:CoinGecko Research「Top NFT Blockchains By Market Share」(2026年4月29日更新) ※9 出典:CoinLaw「Ethereum Gas Fee History: Secrets Behind High Fees」(2026年4月29日更新) ※10 出典:The Block「Ethereum hits fresh all-time high...crosses $4,900 for the first time ever」、複数の暗号資産市場メディアの報道(2022年6月の水準について) ※11 出典:CoinGecko「Ethereum Price」、CoinMarketCap「Ethereum」(2026年8月17日確認) ※12 出典:Ethereum Foundation「Glamsterdam」ロードマップページ ※13 出典:The Block「Crypto ETFs head into 2026 with regulatory tailwinds...」(2026年1月1日)