「イーサリアムクラシック(ETC)」という名前を目にしても、イーサリアムとの違いや今後の将来性がよく分からないという方は少なくありません。本記事では、ETCが誕生した経緯や特徴、メリット・注意点、将来性、購入方法までわかりやすく解説します。
執筆:CoinTradeコラム編集部
※本記事は2026年8月14日時点の情報であり、今後の法改正等により相違が生じることがあります。
イーサリアムクラシック(ETC)とは
イーサリアムクラシック(ETC)は、スマートコントラクト機能を持つオープンソースの分散型ブロックチェーンです。ティッカーシンボル「ETC」の名称で、国内外の暗号資産取引所に上場しています。まずは基本的な仕組みと現在の規模感、そしてETCが生まれた経緯を確認します。
ETCの基本情報
ETCは、マイニングによって取引を承認するプルーフ・オブ・ワーク(PoW)をコンセンサスアルゴリズムに採用しています。2026年8月14日時点の価格は約6.23ドル、時価総額は約9億8,400万ドルで、暗号資産全体の時価総額ランキングでは54位です(※1)。循環供給量は約1億5,783万ETCで、後述する発行上限(約2億1,070万枚)の約74.9%にあたる水準まで発行が進んでいます(※1)。
誕生の経緯
ETCは、2016年6月17日に起きた「The DAO事件」をきっかけに誕生しました。The DAOは、当時イーサリアム上で資金を集めて運用していた分散型組織です。スマートコントラクトの脆弱性を突くリエントランシー攻撃を受け、約360万ETH(当時の価格で約52億円相当)が不正に流出しました(※2)。これを受けて、イーサリアムの開発チームは2016年7月20日、不正送金前の状態へ資金を戻すハードフォークを実施しています(※2)。この人為的な介入を非中央集権の理念に反すると受け止めたコミュニティは、ハードフォークに同意せず分岐前のチェーンを継続させました。これが現在のイーサリアムクラシック(ETC)です。
イーサリアムとの違い
ETCとイーサリアム(ETH)は同じ起源を持ちますが、2016年7月の分岐以降は別々のブロックチェーンとして運用されています。関係性と、発行の仕組み・理念面での違いを確認します。
分岐後の関係性
ETCは、ハードフォーク前のオリジナルチェーンの取引記録をそのまま引き継いだブロックチェーンです。ハードフォークによって不正送金前の状態に戻された新しいチェーンが、現在のイーサリアム(ETH)にあたります(※2)。ETHはその後、コンセンサスアルゴリズムをPoWからプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へ移行しており、この点でもETCとの違いが広がっています。
発行上限・思想面での相違点
ETHには発行上限が設定されていませんが、ETCは約2億1,070万枚という発行上限を持ち、ブロック報酬が段階的に減少する金融政策を採用しています(※3)。この違いの背景には、一度記録された取引を人為的に書き換えるべきではないという「Code is Law」の理念があります。ETCコミュニティは、The DAO事件後のハードフォークをこの理念に反する介入とみなし、分岐前のチェーンを支持しました(※2)。
| 項目 | イーサリアムクラシック(ETC) | イーサリアム(ETH) |
|---|---|---|
| 発行上限 | 約2億1,070万枚 | 上限なし |
| コンセンサスアルゴリズム | PoW(プルーフ |
PoS(プルーフ |
| The DAO事件後の |
ハードフォーク前の |
ハードフォークで |
| 基本理念 | Code is Law(人為的介入の |
コミュニティ合意に |
イーサリアムクラシックの特徴・仕組み
ETCには、PoWの採用や発行上限の設計など、イーサリアムとの分岐の経緯を色濃く反映した特徴があります。
プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用
ETCは、マイニングによって取引を承認するPoWをコンセンサスアルゴリズムとして採用しています。ETHがPoSに移行した後も、ETCはPoWを維持する方針です。PoWは、参加者の計算資源が分散しているほどネットワークの改ざん耐性が高まるとされる仕組みで、非中央集権性を重視するETCコミュニティの理念とも結びついています。
発行上限2億1,070万枚という希少性
ETCの発行上限は約2億1,070万枚に設定されています。ブロック報酬は500万ブロックごとに20%ずつ減少する「5M20」ルール(ECIP-1017)に基づいており、このルールは2017年12月に導入されました(※3)。供給ペースが逓減する設計になっていることから、ビットコインと同様の希少性を持つ資産として評価されることがあります。この供給設計を根拠に「デジタル・ゴールド」的な資産と評価する論調も見られます。
「Code is Law」の思想
「Code is Law」は、一度確定したブロックチェーン上の記録を人為的な介入によって書き換えるべきではないという理念です(※2)。ETCコミュニティは、The DAO事件後のハードフォークをこの理念に反する介入とみなしました。スマートコントラクトやトランザクションの履歴が改ざんされずに保存され続けること、すなわちブロックチェーンの記録が後から書き換えられない性質を重視する立場を象徴しています。
イーサリアムクラシックのメリット・リスク
ETCへの理解を深めるうえでは、良い面だけでなくリスクの面もあわせて押さえておく必要があります。
メリット
ETCは、スマートコントラクトの実装から長い実績を持ち、開発環境がイーサリアムと類似しています。この類似性から、イーサリアム向けに作られた分散型アプリケーション(DApps)の移植や開発を行いやすいことが強みです。発行上限が設定されていることは、供給面での希少性の訴求材料にもなります。
リスク
ETCは2019年1月に二重支払いの攻撃を受けたほか、2020年7月から8月にかけても短期間に複数回の51%攻撃が発生しました。取引所で二重支払いによる被害が確認されており、被害額は複数の報道で500万ドル超と伝えられています(※4)。イーサリアムと比較すると開発者数やエコシステムの規模が小さいとされ、ネットワークの安全性に大きく影響するハッシュレートも相対的に低い水準にとどまっているとされます。
ETCは過去に複数回の51%攻撃を受けた実績があり、ネットワークの規模がイーサリアムより小さいことがセキュリティ面の課題として指摘されています。
イーサリアムクラシック(ETC)の将来性
ここからは、ETCの将来性を考えるうえでの視点を整理します。
将来性を左右するポイント
過去に51%攻撃を受けた実績を踏まえたセキュリティ強化への取り組みは、信頼回復の観点で注目されています。イーサリアムと似た開発環境を生かし、互換性のあるアプリケーションが増えるかどうかも普及を左右するポイントです。発行上限が設定されていることによる資産としての希少性も、評価軸の一つに挙げられます。PoWを維持する数少ない大型スマートコントラクト基盤の一つとされ、他のPoWチェーンとの差別化も注目されるポイントです。
価格動向を見るうえでの視点
ETCの価格は、イーサリアム(ETH)の値動きと連動する傾向が指摘されています。ネットワークのハッシュレートやマイナーの定着状況は、セキュリティ面の安定性を測る指標です。国内外の取引所での取扱状況や利用環境の広がりも、需要動向を見るうえでの視点になります。時価総額ランキングでの順位の推移も、市場からの評価を測る目安の一つです(※1)。
イーサリアムクラシック(ETC)の購入方法
ETCを購入する際の一般的な流れと、取引所を選ぶ際に確認しておきたいポイントを紹介します。
購入の流れ
国内の暗号資産交換業者でETCを購入する場合、口座開設と本人確認、日本円の入金という手続きを経たうえで、取引所の売買画面からETCを購入する流れが一般的です。手続きの細かな流れは業者によって多少異なりますが、大まかな手順はどこも共通しています。
暗号資産交換業者選びのポイント
購入前には、口座を開設する交換所がETCを取り扱っているかどうかをまず確認する必要があります。そのうえで、取引形態やアプリの使いやすさなどを比較し、自分の取引スタイルに合った暗号資産交換業者を選ぶことが重要です。
よくある質問
Qイーサリアムクラシックはどうやって購入できますか?
ETCを取り扱う国内の暗号資産交換業者に口座を開設し、本人確認と日本円の入金を済ませたうえで、取引所の売買画面から購入します。積立に対応した取引所であれば、金額と頻度を決めて自動で買い付ける方法も選べます。
Qイーサリアムクラシックはいくらから購入できますか?
購入できる最低金額は業者によって異なります。少額から購入できる取引所を選べば、まとまった資金を用意しなくても保有を始められます。
Qイーサリアムクラシックとイーサリアムは何が違いますか?
両者は、2016年のThe DAO事件をめぐるハードフォークで分岐した、同じ起源を持つブロックチェーンです。発行上限の有無やコンセンサスアルゴリズム(PoWとPoS)、基本理念の違いが主な相違点として挙げられます。
Qイーサリアムクラシックに将来性はありますか?
セキュリティ強化の取り組みやイーサリアムとの互換性を生かしたアプリケーションの増加、発行上限による希少性などが評価の軸になると考えられています。過去には複数回の51%攻撃を受けた実績もあり、将来の値動きを断定することはできません。
Qイーサリアムクラシックの取引はいつでもできますか?
暗号資産の取引所には株式市場のような取引時間の制限がなく、原則として24時間365日いつでも売買できます。
まとめ
- イーサリアムクラシック(ETC)は、2016年のThe DAO事件を機にイーサリアムからハードフォークで分岐して誕生した暗号資産である
- ETH(イーサリアム)とは異なり、約2億1,070万枚の発行上限を設けた逓減型の金融政策を採用している
- コンセンサスアルゴリズムはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を維持し、「Code is Law」の理念を継承している
- 2019年および2020年に複数回の51%攻撃を受けた実績があり、セキュリティ面の課題も指摘されている
- 将来性は、セキュリティ強化やイーサリアムとの互換性を生かしたアプリ増加、資産としての希少性が評価の軸である
※1 出典:CoinMarketCap「Ethereum Classic」(2026年8月14日確認) ※2 出典:Wikipedia「イーサリアムクラシック」(2026年8月14日確認) ※3 出典:Ethereum Classic公式ブログ「Ethereum Classic Course: 8. Ethereum Classic's Monetary Policy」 ※4 出典:HEDGE GUIDE「イーサリアムクラシック、51%攻撃により500万米ドル以上の被害が明らかに」等の複数報道