暗号資産を持ったまま報酬を受け取る方法を調べていると、流動性マイニングという言葉に行き当たるでしょう。これは、自分の暗号資産(仮想通貨)を2種類セットで預けておくと、その資産が誰かの交換に使われ、支払われた手数料の一部を報酬として受け取れる仕組みです。この記事では、その成り立ちからステーキングとの違い、押さえておきたいリスク、国内で運用を始める手順までをまとめました。
執筆:CoinTradeコラム編集部
※本記事は2026年8月12日時点の情報であり、今後の法改正等により相違が生じることがあります。
流動性マイニングとは何か
流動性マイニングは、自分が持っている暗号資産を2種類セットで預けることから始まります。預けた資産はほかの人が暗号資産を交換するときの元手として使われ、支払われた手数料の一部が預けた人に分配されます。
この預け先が流動性プールで、両替所に自分の資金を在庫として置き、両替のたびに手数料の一部を受け取る形と大きく変わりません。プールを用意しているのは、DEX(分散型取引所)と呼ばれるサービスです。運営者が注文を突き合わせるのではなく、プールにある資産の量からプログラムが自動で価格を決めます。
管理者を介さずにブロックチェーン上で金融取引を行うこうした仕組みは、まとめてDeFiと総称されてきました。資産を預けると引き換えにLPトークンが発行され、報酬の受け取りや引き出しに使います。
報酬は2種類に分かれ、1つはプールの利用者が支払う取引手数料の一部、もう1つはDEX側が独自に配布するガバナンストークンです。この2階建ての構造が高い年率の背景にありますが、年率は固定ではなく、資金量や取引量に応じて絶えず変わっていくでしょう。
流動性マイニングとステーキングの違い
この2つはどちらも暗号資産を預けて報酬を受け取る仕組みですが、預けた資産が何を支えているかが異なります。前者はDEXで交換を成立させるための資産の提供、後者はブロックチェーンの運営への参加で、目的が同じではありません。
預ける資産の形にも差があります。DEXのプールは相手方となる2つの資産がそろって初めて機能するため、2種類をペアで用意する必要があります。ステーキングは対象の銘柄を1種類預けるだけで参加でき、国内では暗号資産交換業者のサービスを通じて預ける形が広まりました。
よく併記されるイールドファーミングは、DeFiで利回りを得る行為全体を指す総称です。プールへの資金提供もその一手法にあたるため、対立する概念ではありません。
| 項目 | 流動性マイニング | ステーキング |
|---|---|---|
| 支えている対象 | DEXで |
ブロックチェーンの |
| 預ける資産 | 2種類の |
対象銘柄を |
| 固有の |
インパーマネントロス | 解除後に |
| 日本で |
国内で |
国内の |
流動性マイニングの主なリスク
高い年率が示される背景には、預けた側が引き受ける固有のリスクがあります。損失につながる要因は、預けた資産、預け先の仕組み、受け取る報酬の3つに分けられます。
価格変動で生じるインパーマネントロス
インパーマネントロスは、ペアにした2つの資産の価格の比率が変わることで生じる損失です。プールは2つの資産の量を一定の関係に保つよう自動で調整するため、値上がりした側が減り、値下がりした側が増えます。
プールに預けた資産は、引き出し時に「預けずにそのまま保有していた場合」よりも評価額が下回りかねません。例えば価格比率が2倍に変わると、ただ持っていた場合と比べて約5.7%目減りします。比率が元に戻ればこの差は解消されるため、変動損失と呼ばれます。
スマートコントラクトと預け先の信頼性
流動性プールは、あらかじめ決めた処理を自動で実行するプログラム、いわゆるスマートコントラクトの上で動いています。プログラムに不具合や抜け穴があると、預けた資産がそこを突かれて外部へ流出する危険が残ります。
国内の暗号資産交換業者を通じた取引と違い、DeFiでは損失を補償する枠組みが用意されていない場合が多く、資産が戻らない例も報告されました。開発者が資金を持ち去るラグプルと呼ばれる手口も知られており、預け先の実績や監査の有無が問われます。
報酬トークンと利率の変動
報酬として配られるガバナンストークンにも、価格の変動があります。配布量が増えれば1枚あたりの価値は薄まりやすく、利用者が減れば需要も落ち込みます。
受け取った時点の年率が高く見えても、トークンの値下がりが大きければ手元に残る金額は目減りしてしまうかもしれません。年率はプールの資金量と取引量から計算されるため、資金が集まるほど取り分は薄まり、示された数字が続く保証はありません。
日本から利用する場合の前提知識
日本に住みながら流動性マイニングを検討する場合、国内のサービスを使うときとは前提条件が変わります。特に違うのは、資産の管理方法と税金の扱いです。
資産は自分で管理する前提になる
金融庁に登録された国内の暗号資産交換業者に、この仕組みを提供しているところはありません。利用するには自分で秘密鍵を管理するウォレットを用意し、海外のDeFiサービスへ直接つなぐ流れになります。
秘密鍵やリカバリーフレーズを失えば資産を取り戻す手段はなく、事業者に復旧を依頼することもできません。ウォレットの種類ごとの違いは暗号資産ウォレットとは?種類・選び方で解説しています。
報酬にかかる税金の扱い
DeFiの取引に向けた特別な規定は税制に設けられておらず、現行の所得税法にそって課税されます。プールから受け取った報酬や資産を引き出したときの利益は、原則として雑所得に区分され総合課税の対象になります。受け取りと引き出しで課税の時点が分かれるため、損益計算は煩雑になりやすいでしょう。
2026年3月に成立した改正所得税法では、一定の暗号資産の譲渡益を20.315%の申告分離課税とする方針が示されました。ただし対象は国内の登録業者が扱う暗号資産に限られ、DEXを通じた取引は対象外と整理されています。詳しい内容は暗号資産の分離課税とは?2028年施行の新税制にまとめています。
分離課税の適用は金融商品取引法の改正が施行された翌年からで、2028年1月が有力とみられています。
対象や範囲は今後の細かいルールで固まるため、最新の内容は国税庁の公表資料でご確認ください。
国内で暗号資産の運用を始める手順
流動性マイニングのように自分でウォレットを管理する方法とは別に、国内の枠組みの中で保有しながら報酬を受け取る選択肢もあります。その場合の出発点は、暗号資産交換業者の口座を用意することです。
暗号資産交換業者で口座を開設して購入する
日本国内で暗号資産を購入するには、金融庁に登録された暗号資産交換業者の口座が必要です。登録の有無は金融庁が公開している一覧で確かめられるため、事前の確認に手間はかかりません。
口座開設から購入までは、次の4つの手順で進みます。特別な知識は必要なく、少額から始められます。
-
1
メールアドレスを登録する
受信できるメールアドレスで登録し、使い回さないパスワードを設定します。
-
2
本人確認の書類を提出する
スマートフォンで本人確認書類のICチップを読み取る方法が主流で、提出後に事業者側の確認が行われます。
-
3
日本円を入金する
本人確認が終わると入金でき、資金が反映された時点で注文を出せます。
-
4
購入または積立の設定を行う
銘柄と金額を指定して注文します。積立なら設定後は自動で買い付けが続きます。
CoinTradeのステーキングと積立で運用する
CoinTradeは、預けた暗号資産をそのまま運用に回せるサービスをそろえてきました。ETHやSOLなどを預けて報酬を受け取るCoinTradeのステーキングに対応しており、運用期間に期限はなく、いつでも解除を申請できます。解除の申請後は銘柄ごとに定めた期間を経てから売却や送金ができます。
一定額を定期的に自動で購入する積立にも対応しており、購入のタイミングを都度判断する必要はありません。金や銀の価格に連動するコインを貸し出すレンディングもそろえており、値動きの異なる資産も組み合わせられます。口座開設から購入、運用の設定までが1つのアプリで完結します。
よくある質問
Q流動性マイニングとステーキングは何が違いますか?
預けた資産が支えている対象が違います。前者はDEXでの交換が成立するように2種類の資産をペアで差し出し、後者はブロックチェーンの運営に参加するため対象銘柄を1種類預けます。
Qインパーマネントロスとはどのような損失ですか?
ペアにした2つの資産の価格の比率が預けたときから変わることで生じる、評価額の目減りです。比率が元に戻れば解消されるため、変動損失とも呼ばれています。
Q流動性マイニングは日本の暗号資産交換業者でも利用できますか?
金融庁に登録された国内の暗号資産交換業者では提供されていません。利用する場合は自分で秘密鍵を管理するウォレットを用意し、海外のDeFiサービスへ直接つなぐ形になります。
Q流動性マイニングの報酬にはどのような税金がかかりますか?
DeFiに固有の規定はなく、受け取った報酬や引き出し時の利益は原則として雑所得に区分され、総合課税の対象になります。改正所得税法による申告分離課税は、DEXを通じた取引を対象外としています。
Q暗号資産を保有したまま報酬を受け取る方法にはどのようなものがありますか?
国内では、暗号資産交換業者のステーキングやレンディングを通じて預ける方法が広まりました。CoinTradeもETHやSOLなどのステーキングに対応し、いつでも解除を申請できます。
まとめ
- 流動性マイニングは、DEXの流動性プールに暗号資産をペアで預け、手数料の一部とガバナンストークンを得る仕組み
- ステーキングとの違いは、支えているのがDEXでの交換の成立か、ブロックチェーンの運営かという点
- 主なリスクはインパーマネントロス、スマートコントラクトからの資産流出、報酬トークンと年率の変動
- 国内の暗号資産交換業者では提供がなく、秘密鍵の自己管理と雑所得としての総合課税が前提
- 改正所得税法による申告分離課税は、DEXを通じた取引を対象外としている
- 国内なら、暗号資産交換業者の口座開設からステーキングや積立に進む道がある