暗号資産ETF(上場投資信託)とは、ビットコインなどの暗号資産に連動する形で証券取引所に上場された投資商品です。米国では2024年に解禁され、日本でも2028年を目処に解禁へ向けた制度整備が進んでいます。本記事では、ETFの仕組みから日本の最新動向、ETF解禁前からできる資産運用の選択肢まで、わかりやすく解説します。
執筆:CoinTradeコラム編集部
※本記事は2026年5月21日時点の情報であり、今後の法改正等により相違が生じることがあります。
暗号資産ETFとは何か
ETF(Exchange Traded Fund)とは、特定の指数や資産の価格に連動するように設計された上場投資信託です。通常の投資信託と異なり、株式と同様に証券取引所でリアルタイムに売買できる点が特徴です。たとえば通常の投資信託は1日1回しか値付けされませんが、ETFは株式市場が開いている間であれば時々刻々と価格が変動し、いつでも売買注文を出せます。
暗号資産ETFは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産を裏付け資産(または参照指数)として運用するETFです。投資家は暗号資産の価格変動にさらされながらも、ウォレットを自分で管理したり、秘密鍵を保管したりする必要がなく、証券口座から売買できます。
暗号資産の仕組みについて詳しく知りたい方は、暗号資産の仕組みをわかりやすく解説した記事もあわせてご参照ください。
暗号資産ETFの主なメリットは3つです。
1. 手軽さ:証券口座があれば株式と同じ感覚で売買できる。
2. 管理コストの削減:ウォレット管理・秘密鍵の保管・ハッキング対策が不要。
3. 流動性:市場取引時間中はリアルタイムで売買できるため、換金性が高い。
暗号資産ETFの種類:現物型と先物型の違い
暗号資産ETFは大きく「現物型(スポット型)」と「先物型」の2種類に分けられます。仕組みや特性が異なるため、投資の際は違いを正確に理解しておくことが重要です。
現物型ETF(スポット型)
現物型ETFは、運用会社が実際に暗号資産を購入・保有し、その価格変動をETFに反映させる仕組みです。投資家が購入した資金に相当するビットコイン等を運用会社が保管するため、価格連動性が高いのが特徴です。2024年1月に米国の証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物ETFを承認したことで、世界的に注目が集まりました。
先物型ETF
先物型ETFは、暗号資産の現物を保有せず、先物契約(将来の特定価格での売買を約束する契約)を組み合わせて運用するETFです。現物を保有しないため保管リスクは低い一方、先物の期近・期先の乗り換えコスト(ロールコスト)が発生することがあり、長期保有では現物価格との乖離が生じやすい点に注意が必要です。
| 項目 | 現物型(スポット型) | 先物型 |
|---|---|---|
| 運用方法 | 暗号資産を実際に保有 | 先物契約で運用 |
| 価格連動性 | 高い(直接連動) | やや低い(乖離が生じる場合あり) |
| ロールコスト | なし | あり(コンタンゴ時に不利) |
| 保管リスク | 運用会社側が負担 | 低い(現物を保有しない) |
| 主な例(米国) | ブラックロック IBIT、フィデリティ FBTC など | ProShares BITO など |
海外での暗号資産ETF動向
世界では、暗号資産ETFの解禁と普及が急速に進んでいます。特に米国での動向が、日本の制度整備にも大きな影響を与えています。
米国では2024年1月10日、SEC(証券取引委員会)がビットコイン現物ETF11本を一斉に承認し、翌1月11日から取引が始まりました。ブラックロックやフィデリティなどの世界最大級の資産運用会社が参入し、取引初日だけで約46億ドルの売買高を記録しました。同年5月にイーサリアム現物ETF(8銘柄)の上場規則改正が承認され、7月23日から取引が開始されました。さらに2025年10月には、ソラナ・ライトコイン・ヘデラなどアルトコインの現物ETFが相次いで上場し、同年11月には純粋なXRP現物ETFもナスダックに上場しました。
米国以外では、香港が2024年4月15日にビットコインとイーサリアムの現物ETFを承認(取引開始は4月30日)し、アジアで初の現物ETF解禁となりました。オーストラリアも同年6月に現物ビットコインETFを解禁しており、韓国でも2026年内の解禁が見込まれています。
日本では2028年にも暗号資産(仮想通貨)で運用する上場投資信託(ETF)が解禁される見通しになった。金融庁が制度を整え、野村ホールディングスやSBIHDの運用会社が商品を開発する。
出典:日本経済新聞(2026年1月25日)日本での暗号資産ETF:現状と解禁見通し
なぜ日本ではまだ買えないのか
現時点(2026年5月)では、日本において暗号資産ETFを購入することはできません。理由は主に法制度にあります。
日本の「投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)」では、投資信託が主な運用対象とできる資産を「特定資産」として限定しており、暗号資産はこれに含まれていません。そのため、国内で暗号資産ETFを組成することも、海外の暗号資産ETFを国内証券会社が取り扱うことも、現行法では認められていない状況です。暗号資産交換業者の自主規制を行う日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)も、現行制度下では現物取引を中心とした枠組みで活動しています。
金融庁による暗号資産交換業者登録一覧に掲載された国内交換業者は、現物の暗号資産売買やステーキングを提供していますが、ETFとは別の制度的枠組みで運営されています。
2025年10月、金融庁は海外で組成された暗号資産ETFを原資産とするCFD(差金決済)取引の提供について、「投資者保護の観点から望ましくない」との見解を示しています(金融庁・2025年10月31日公表)。現時点では、こうした方法での暗号資産ETFへの間接投資も、国内規制上は慎重な扱いが求められます。
2025年12月に公表された2026年度税制改正大綱では、金融庁が暗号資産ETFについて「投信法施行令の改正を前提に組成可能」と明記しました。あわせて暗号資産取引の所得についても、現行の総合課税(最大約55%)から申告分離課税(約20%)へ移行する方針が示されており、2028年1月からの施行が見通されています。JPX(日本取引所グループ)CEOも、法整備が整い次第、東証への上場を検討する方針を示しており、野村ホールディングスやSBIグループなど大手運用会社がすでに商品開発に着手しています。
暗号資産ETFのメリットとリスク
ETF投資のメリット
暗号資産ETFには、現物の暗号資産を直接保有する場合と比べて、以下のような利点があります。
- ウォレット管理が不要:秘密鍵の管理やハードウェアウォレットの準備が不要で、証券口座のみで完結します。
- 税務処理の一元化:ETFが解禁・分離課税化された場合、株式・投資信託と同様の確定申告フローで処理できるようになります。詳細は国税庁の暗号資産に係る課税FAQも参考にしてください。
- 機関投資家と同一商品へのアクセス:ブラックロックなどの大手運用会社が提供する商品と同一の価格連動性で投資できます。
- 既存の証券インフラで完結:すでに株式や投資信託を保有している方なら、新たに暗号資産交換業者の口座を開設しなくても、使い慣れた証券口座のみで暗号資産へのエクスポージャーが取れます。
注意すべきリスク
ETFの利便性は高い反面、投資にあたっては以下のリスクを十分に理解する必要があります。
暗号資産ETFには主に以下のリスクがあります。
価格変動リスク:暗号資産は株式や債券に比べて価格変動が極めて大きく、短期間で大幅な下落が起きる場合があります。
信託報酬:ETFには年率で信託報酬(管理費用)がかかるため、長期保有時は総コストに注意が必要です。
乖離リスク:先物型ETFでは原資産価格と基準価額が乖離する場合があります。
規制変更リスク:各国の規制方針の変更が、ETFの運用や取引に影響を与える可能性があります。
ETF解禁前にできる暗号資産投資の選択肢
日本での暗号資産ETF解禁は2028年が見通しとなっていますが、それまでの間も、金融庁登録済みの暗号資産交換業者を通じて暗号資産への投資をはじめることができます。ETFに近い感覚で使える方法を3つご紹介します。
現物取引で直接保有する
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を、暗号資産交換業者で直接購入・保有する方法です。ETFのような中間コスト(信託報酬)がなく、価格上昇の恩恵をダイレクトに受けられます。ただし、現時点では売却益に総合課税(最大約55%)が適用される点には注意が必要です。2028年に申告分離課税(約20%)への移行が予定されています。
暗号資産の基礎知識については、暗号資産とは?初心者向けに特徴と始め方をわかりやすく解説もあわせてご覧ください。
ステーキングで保有しながら報酬を受け取る
暗号資産を保有しながらネットワーク運営に参加することで、報酬(利回り)を受け取れる「ステーキング」は、ETFにはない暗号資産特有の運用方法です。保有量が増える複利効果が期待でき、長期保有の動機付けにもなります。ステーキング報酬には税金がかかりますので、確定申告を正しく行う必要があります。
CoinTradeのステーキング機能「CoinTrade Stake」は、ETH・SOLをはじめとする15銘柄に対応しており、最大年率13.5%※1 での運用が可能です。詳しくはCoinTrade Stakeのサービスページをご確認ください。
積立運用で少額から始める
毎月一定額を自動的に購入する積立運用は、価格変動が大きい暗号資産に対して、平均取得コストを平準化する効果(ドルコスト平均法)が期待できます。ETFの積立投資に近い感覚で運用できる手段として、初心者にも取り組みやすい方法です。
CoinTradeの積立運用サービスでは、少額から自動積立を設定でき、忙しい方でも手間なく暗号資産の保有を積み上げていくことができます。
ETF解禁を待ちながらも、今からできる選択肢はあります。CoinTradeは金融庁に登録された暗号資産交換業者(関東財務局長00025号)であり、東証プライム市場上場企業グループが運営しています。現物取引・ステーキング・積立運用を通じて、ETF解禁後も見据えた資産形成を着実に進めることができます。
よくある質問
Q暗号資産ETFは日本でいつから買えますか?
現時点(2026年5月)では、日本において暗号資産ETFは購入できません。2026年度税制改正大綱で組成に向けた方針が明記されており、金商法改正と申告分離課税の施行に合わせて、2028年1月からの解禁を目指す流れとなっています。ただし、法改正の進捗によってスケジュールが変わる可能性もあります。
Q暗号資産ETFと現物の暗号資産を直接買うのは何が違いますか?
現物の暗号資産を購入する場合、暗号資産交換業者に口座を開設し、ウォレット管理やセキュリティ対策も自分で行う必要があります。一方、ETFは証券口座を通じて株式と同様に売買でき、ウォレット管理は不要です。ただし、ETFには信託報酬(管理手数料)がかかるため、長期保有ではコスト面の比較も重要です。現物取引には自己管理の手間がかかりますが、ETFにはない「ステーキング報酬」も得られます。
QETFが解禁されたら税率はどうなりますか?
2028年に暗号資産ETFが解禁される場合、ETFから生じる所得は申告分離課税(約20%)が適用される見通しです。現在の暗号資産現物取引は総合課税(最大約55%)が適用されているため、大幅な税負担の軽減につながると期待されています。なお、現物の暗号資産取引についても同時期に申告分離課税への移行が予定されています。確定申告の詳細は国税庁の情報をご確認ください。
Q現物型ETFと先物型ETFはどちらが安全ですか?
どちらにもそれぞれのリスクがあります。現物型は実際の暗号資産を裏付けとするため価格連動性が高い一方、運用会社側の保管リスクが生じます。先物型は先物契約で運用するため、原資産価格との乖離(コンタンゴ)が生じる場合があります。どちらも暗号資産の価格変動リスクは避けられないため、「安全」とは一概に言えません。ご自身の投資目的やリスク許容度に合わせて検討することが大切です。
QETF解禁前に暗号資産投資を始めるにはどうすればいいですか?
金融庁に登録された暗号資産交換業者で口座を開設し、現物取引・ステーキング・積立運用などを活用する方法があります。CoinTradeは金融庁登録済みの交換業者として、現物取引・CoinTrade Stake(ステーキング)・積立運用などのサービスを提供しています。口座開設の流れについては口座開設ガイドをご参照ください。
まとめ
- 暗号資産ETFとは、ビットコインなどの暗号資産に連動する上場投資信託で、証券口座を通じて株式と同様に売買できる金融商品です。
- 現物型(スポット型)と先物型の2種類があり、価格連動性やコスト構造が異なります。米国では2024年にビットコイン現物ETFが解禁され、その後ソラナ・XRPなどアルトコインのETFも拡大しています。
- 日本では現行の投信法上の制約から、現時点で暗号資産ETFは未解禁です。2026年度税制改正大綱で組成方針が明記され、金商法改正・申告分離課税の施行と合わせて2028年1月の解禁が見通されています。
- ETFには手軽さや管理コスト削減などのメリットがある一方、価格変動リスクや信託報酬などのコスト・乖離リスクも存在します。
- ETF解禁までの間も、金融庁登録済みのCoinTradeで現物取引・ステーキング・積立運用を活用することで、今からETF解禁後を見据えた資産形成を始めることができます。
※1 2026年5月21日現在。年率は変動する場合があります。最新情報はCoinTrade Stakeのサービスページをご確認ください。