「FX」といえば外国為替取引を連想される方が多いため、暗号資産(仮想通貨)FXと聞くと分かりづらいと感じる方もいらっしゃるでしょう。この記事では、証拠金を預けて差額をやり取りする仕組み、外国為替FXとの制度上の違い、現物との使い分け、注意点、倍率をかけない持ち方までを整理します。読み終えるころには、自分に合った持ち方を落ち着いて選べるはずです。
執筆:CoinTradeコラム編集部
※本記事は2026年7月31日時点の情報であり、今後の法改正等により相違が生じることがあります。
暗号資産FXとは?仕組みと倍率の上限
暗号資産(仮想通貨)FXとは、暗号資産交換業者に預けた証拠金を担保に、その数倍の金額を売買できる仕組みです。レバレッジをかけて売買することから、暗号資産CFDや暗号資産レバレッジ、証拠金取引と呼ばれることもあり、いずれも同じ取引を指しています。
保有している売買の持ち高は建玉と呼ばれ、受け渡しされるのは損益の差額にすぎません。暗号資産そのものは手元に残らず、価格が下がると見込む場面では売りから入ることもできます。
国内で個人向けの倍率が2倍までに制限されているのは、2020年5月に施行された改正金融商品取引法にもとづく内閣府令による規制です。2026年7月時点でも、この水準は変わっていません。
一方で、制度を見直す議論も進んでいます。自由民主党のプロジェクトチームの座長が2026年7月の会合で2倍という水準の厳しさに言及し、業界団体からは4倍から10倍程度への引き上げを求める声も出ていると報じられました。
外国為替FXと暗号資産FXの3つの違い
外国為替FXは正式には外国為替証拠金取引と呼ばれ、円やドルなどの法定通貨を対象に、同じく証拠金を担保として売買の差額をやり取りする仕組みです。呼び方は似ていますが、制度の枠組みと値動きの性質には差があります。
| 比較項目 | 外国為替FX | 暗号資産FX |
|---|---|---|
| 取引対象 | 円や |
ビットコインなどの |
| 個人向けの |
25倍 | 2倍(国内) |
| 取引で |
平日の |
24時間365日 |
| 値動きの |
各国の |
規制の |
| 税金の |
申告分離課税 | 雑所得と |
取引できる時間と値動きの幅
まず異なるのは、相場が動いている時間です。外国為替FXは平日のほぼ24時間で、土日祝日は市場が閉じているため注文を出せません。
暗号資産FXの相場は土日祝日を含めて24時間365日動き続け、値動きの幅も大きくなりやすい傾向があります。就寝中の急変が損益に直結する場面も出てきます。
かけられる倍率の上限
かけられる倍率の上限にも、大きな開きがあります。個人向けの上限は外国為替FXが25倍、国内の暗号資産FXは2倍にとどまり、同じ証拠金で動かせる金額は10分の1以下にしかなりません。
海外に所在するサービスでは、100倍を超える倍率を掲げている例も見られます。ただし国内の居住者に向けた提供には、所在地を問わず金融庁への登録が必要です。
利益にかかる税金の区分
損益にかかる税金の区分も異なります。外国為替FXの利益には20.315%の申告分離課税が適用される一方、暗号資産の証拠金取引の利益は雑所得の総合課税で、住民税を含めると負担は最大55%程度に達しかねません。
税区分が違うため、外国為替FXの損失を暗号資産FXの利益と通算できません。2026年3月31日に成立した所得税法等の改正では、国内の登録業者を通じて取引した特定暗号資産の譲渡益とデリバティブ取引の所得が、同じ20.315%の申告分離課税の対象に加えられました。
特定暗号資産は金融商品取引業者登録簿に登録された銘柄を指し、海外の事業者経由の取引は対象になりません。損失を3年間繰り越せる制度も、同じ改正で認められました。
適用は2028年1月1日以後の取引からとなる見込みです。詳しくは暗号資産の分離課税と2028年施行の新税制で解説しています。
現物取引との違いと向き不向き
最も大きな違いは、暗号資産そのものを手元に残せるかどうかです。現物取引で買った暗号資産は自分の資産として口座に残り、送金やステーキング・レンディングといった運用にも回せます。
証拠金を使った売買で受け渡しされるのは損益の差額のみで、保有そのものにはつながりません。値上がりを待って長く持ち続ける使い方には向いていません。
費用の性質も異なります。建玉を翌営業日に持ち越すと1日あたり0.04%程度のレバレッジ手数料がかかる例があり、10万円分なら1日40円ほどかかります。
買値と売値の差であるスプレッドも、実質的なコストとして無視できません。どちらが優れているかではなく、目的の違いで選ぶのが自然です。
倍率をかけるときの注意点
倍率をかけると、利益が伸びる場面と同じだけ損失が広がる場面も増えます。注意点は、損失の広がり方と事業者の登録状況の2つに整理できます。
損失が預けた資金を上回る可能性
価格が10%動けば、2倍の倍率では損益がおよそ20%動きます。含み損が膨らむにつれ、預けた証拠金の余裕を示す証拠金維持率は下がっていくでしょう。
一定の水準を割り込むと、交換業者の判断で建玉が強制的に決済されます。この強制決済がロスカットで、執行される水準は証拠金維持率50%や75%など事業者ごとに定められています。
相場が急変した場面ではロスカットが想定した価格で執行されず、預けた証拠金を超える損失が残りかねません。不足分の入金を求められることを追証と呼びます。
生活資金や近く使う予定のお金を証拠金に充てると、相場が急変したときに動ける余地がなくなります。余剰資金の範囲にとどめる考え方は、値動きのある資産に共通します。
海外の高い倍率をうたうサービス
高い倍率を掲げる海外のサービスには、登録の有無という別の問題が伴います。国内の居住者に向けて暗号資産の証拠金取引を提供するには、所在地が海外であっても金融庁への登録が欠かせません。
無登録で勧誘している事業者について、金融庁は警告書を発出して名称を公表しています。出金に応じない、連絡が取れなくなるといったトラブルも報告されており、預けた資金が戻らない事態につながりかねません。
倍率をかけずに暗号資産を持つ方法
暗号資産(仮想通貨)FXに不安が残るなら、倍率をかけずに現物で持つ方法もあります。強制的な決済や追証の心配がなく、日数に応じた費用も原則としてかかりません。
現物の積立という選択肢
購入のタイミングを決めきれないときに向いているのが、一定額を定期的に買い付ける積立です。価格が高いときは少なく安いときは多く買い付けるため、購入単価は平均化されやすくなります。
相場を追いかける負担も軽くなり、値動きから距離を置いたまま保有を続けられるでしょう。仕組みや始め方は暗号資産の積立とは?仕組みと始め方で整理しています。
CoinTradeで現物の積立を始める流れ
CoinTradeは金融庁への登録を受けた販売所方式の暗号資産交換業者で、倍率をかけた売買は取り扱っていません。現物の購入と保有に絞られるぶん、売買手数料は購入も売却も0円で、口座開設や口座維持の費用もかかりません。
CoinTradeの積立サービスにも対応し、買い付けのサイクルを選んで設定できます。保有したまま報酬を受け取れるステーキングやレンディングも用意され、現物で持つ場合の選択肢は幅広いといえます。
-
1
口座を開設する
必要事項の入力と本人確認を済ませると、暗号資産を売買できる状態になります。
-
2
日本円を入金する
銀行振込での入金は無料で、金融機関に支払う振込手数料のみ利用者の負担です。
-
3
積立の金額とサイクルを設定する
申請画面で1回あたりの金額と買い付けのサイクルを指定します。
-
4
買い付けの状況を確認する
設定後は自動で買い付けが行われ、履歴は画面から確認できます。
よくある質問
Q暗号資産(仮想通貨)FXと外国為替FXは何が違いますか?
取引の対象が暗号資産か法定通貨かという違いに加えて、制度の面でも差があります。個人向けの最大倍率は外国為替FXが25倍に対し国内の暗号資産FXは2倍、税金の区分も申告分離課税と雑所得の総合課税に分かれます。
Q暗号資産(仮想通貨)FXでは国内で何倍までレバレッジをかけられますか?
個人向けの上限は2倍です。2020年5月に施行された改正金融商品取引法にもとづく内閣府令による規制で、2026年7月時点でもこの水準が続いています。業界団体からは引き上げを求める声が出ていますが、2倍を超える倍率は認められていません。
Q暗号資産FXの利益にはどのような税金がかかりますか?
現行の制度では雑所得として総合課税の対象になり、住民税を含めた負担は最大55%程度に達することもあります。2026年3月に成立した改正により、国内の登録業者を通じた特定暗号資産の取引は、2028年1月1日以後の分から20.315%の申告分離課税に移行する見込みです。
Qロスカットが執行されると預けた資金はどうなりますか?
建玉が強制的に決済され、その時点の損失が確定した状態で証拠金から差し引かれます。相場が急変した場面では想定した価格で執行されず、預けた資金を超える損失が残るかもしれません。不足分は追証として入金を求められます。
Q倍率をかけずに暗号資産を持つ方法はありますか?
現物取引であれば、自己資金の範囲で買った分だけを保有できます。強制的な決済や追証が発生せず、日数に応じた費用も原則かかりません。購入のタイミングを分散したい場合は、一定額を定期的に買い付ける積立という方法も選べます。
まとめ
- 暗号資産FXは証拠金を担保にレバレッジをかけて売買する仕組みで、暗号資産CFDや証拠金取引とも呼ばれる
- 国内の個人向け上限は内閣府令により2倍で、引き上げを求める議論が進んでいる段階
- 取引時間や税金の区分も外国為替FXとは異なるが、国内業者経由の特定暗号資産は2028年から20.315%の申告分離課税へ移行する見込み
- 現物と違って暗号資産そのものは手元に残らず、持ち越しには日数分の費用がかかる
- 証拠金維持率が水準を割り込めばロスカットが執行され、預けた資金を超える損失が残る場合もある
- 高い倍率をうたう海外のサービスには無登録の事業者もあり、金融庁が警告書を発出して名称を公表